拍手有り難う御座います。








「だから!集合時間に遅れると怒られるの!」

練習試合で青学にお邪魔したある春の日。集合時間になっても現れへん金ちゃんを捜して駅周辺をうろついとった俺の耳に、急に響いて来たんはそんな大声だった。

声の主は数メートル先、何やら数人の男に囲まれた女性や。
…まあ何だと言う訳もなく、ナンパで間違いあらへんやろ。
ここからでもはっきりと分かる位にしかめられた表情は、ナンパ男の迷惑さを物語っている。

(ナンパ程面倒なモンはあらへんよなあ…)

練習試合でこっちに来てから、大阪以上に逆ナンにあっとった俺は自分の姿を重ねて同情する。相手もさっさと諦めんかいな。


(あ、金ちゃん捜さなあかんかった)
「貴方達が代わりに怒られてくれるなら文句ないと言っているんです!」
(………)

捜し人が脳裏をよぎり慌てて駆け出すが、どうしてもその声を無視出来んかった。


「すんません、この人に何か用ですか?」

軽く女性の腕を引きながら、余所行きスマイル(謙也命名)を浮かべる。こうしとけばええやろだなんて、たかが14年しか生きとらん俺でも分かるわ。

…そんな予想通り、男たちは気まずそうに散って行く。たまーにおるしつこい輩やなくて良かったわ。そない輩だと面倒事が増えるだけや。

「…何かよく分かりませんが、助かりました。有り難う御座います」
「おおきに」
「……ん…?」

眩しい笑顔で感謝の言葉を口にしたかと思いきや、じっと人の顔を直視してくるこの子。真っ直ぐな瞳は好感を持てるが、何分真っ直ぐ過ぎて少々照れてしもてる俺がおる。

「な、何?俺の顔に、」
「貴方の顔…整い過ぎてていっそつまらないですね」

返事は予想外に辛辣なもんでした。


ズバン本音ストレート




「いや、そない言うても俺この顔で生きて来たんやけど。んでこれから先もこの顔で生きていかなあかんねんけど」
「あー…御愁傷様です…」




……………………

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