「ねえさんただいま!」
『一馬、おかえり』

今日は早帰りだった
一週間後には定期テスト
私が最も嫌いなものだ
中学生なりたてのときは随分力をいれたものだが
1年の冬にもなると嫌でも力が抜けてくる
それでも風間さんに報いるようにこうやって
帰ってきた一馬に目もくれず勉強しているわけだ

「うわっ、ねえさん今日も勉強?中学生って大変だな」
『もーうるさいわね。オネエサンはお勉強中なの。話だけは聞けるけど?』
「じゃあ聞いてくれよ!」

まだ12才の一馬はランドセルを乱暴に置き、私の正面に座った
私よりも年下なくせに背が高く、顔立ちも何歳か上に見られる見た目だった
顔面は強面だし、なにより生意気
別に気に入らないところがあるわけではない。むしろ可愛いくらいだ。
ただそれでも、私よりも背の高い一馬は、私ができないことをなんでもする
本人は親切心でやっているのだろうけど、まだ13才の私には生意気にしかならなかった
それでも表情を変えながら今日の給食だとかいろんな事を話してくれるこの時間は好きだった

「それでな、カレーにピーマンが入ってたんだ」
『あら』
「カレーにピーマンなんてありえねえ!」
『そうねえ、それで、残さず食べれたのかしら』
「んなわけねえよ」
「錦!」

錦山彰
彼は一馬と仲がよく、いつも一緒にいた
彰は顔立ちも一馬とは違い、歳相応の見た目だった
それでも彰も多少年上に見られていた

『いい加減ちゃんと食べなさいよ』
「だってあれはおかしいだろ。なんだよあれ」
『それより彰、由美は?』
「ああ、もうすぐ帰ってくると思う」

そんな彰の人事のあと、すぐ由美の声が聞こえるから、彰はすごいと思う
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