『パイ!!』
「名前!!」
僕はレイヴンに入るや否やパイに抱きついた
「名前も一緒だったのね」
「この前のオバサン…!?」
「なっ…!!?」
『もー……』
ハセヲとパイは目があった瞬間にケンカを始める
「ちょっとクーン。名前は大歓迎だけど。こいつ、叩き出して!!!」
『ハセヲも酷いこと言っちゃだめでしょ!』
「うっせーな」
「ははは。まるで保護者とガキだな」
『クーン?僕そんなに年とってないからね?』
「すまないすまない。そういうつもりじゃなかったんだ」
クーンは僕の頭を撫でる
『!?』
「ちょっとクーン!!あたしの名前に…!!」
パイはクーンを叩く
『ごめんパイのじゃない』
「じゃあ俺のでいいんだな?」
『クーンのはもっといや』
「!!!」
「「ざまあみろ」」
クーンのうなだれる様子にハセヲとパイはあざ笑う
「っと…そろそろ中にいってこい。八咫が待ってる」
「そうだったわ…」
パイとクーンに案内されてハセヲと僕はレイヴンの@HOMEの奥に入っていった


ハセヲと一緒に奥へいくと、行き止まりまで着いた
「なんだか殺風景だな…」
そんなこと言っていると外側から中央へ光が樹形図のようにやってきた
「ようこそ"知識の蛇"へ」
『八咫……』
「久しぶりだね名前」
「また名前の知り合いかよ…」
ハセヲにもいえない。オーヴァンにも言えないちょっとした関係である
『あなたとは会いたくなかったよ』
「私もだ名前。
 全く…人がマーキングをつけてもすぐに取って…」
『でも意味ないじゃない?ハセヲを"見ていた"んだから』
「それもそうだな」
ハセヲは難しい顔をしている
「この"The World"には、使用を逸脱した現象が存在する」
『っ………』
まるで自分のことを言われているようでイラッとする
「それは事象として、あるいは対象として、様々な形で"世界"に表出する
 君が体験した現象、PCデータの強制的な初期化もそのうちの一つだ」
『漢字ばかりー』
「「我慢しろ」」
『むー』
僕は八咫の話が長くてその場に座ってしまう
「君には分かるはずだ。名前」
『えー?』
「…話を聞いていなかったのか?人の話はちゃんと聞け」
『うるさーい!べー、だ』
舌を出してに八咫歯向かう僕
「見たかハセヲ!こいつ…私に舌を出したぞ!!」
「あー……あんたらの事情はしらないけど。勝手にケンカすんな」
『ふんっ』
八咫は溜息をついて、ハセヲとの会話を進める
「…ネットゲーム上でのPKと、プレイヤーの意識不明との因果関係…
 我々としては、問題が表面化する前に、一連の現象を解明したいと考えている」
八咫が話している事はつまり、"僕達"が解決しようとしている事だ
八咫も知ってておかしいことはないはず
「問題が表面化する前にってのは、どういうことだ!
 あわよくば、なかったことにしようってのかっ!!
  お前らのせいで志乃は…志乃はなぁ…っ」
僕はハセヲの顔を見て心が荒む
志乃…志乃は僕にとっても大切な人だった
でも、これも志乃のためなんだ
"あの子"のためなんだ……!!
僕はただ、心の中でハセヲに謝っていた
「それは、違う。
 …彼女が意識不明になったのは我々のせいではない」
そう。八咫のいうとおり
それでもハセヲがそう言うのも僕たちの"物語"には入っている
「彼女を害したのも、君をレベルダウンさせたのも
 あくまで"トライエッジ" そうだろう?」
"トライエッジ"ねえ…
「AIDAと"トライエッジ"意識不明のPC――
 すべての謎を解く鍵は、ここにあるのだから…」
僕はもう八咫の言いたいことがわかってしまった
八咫はいつだってそうやって論理付ける
ハセヲと八咫の話が終わり、ハセヲが帰っていってしまう
『あ、ハセヲ待ってよ〜』
僕がハセヲを追いかけようとすると八咫が声をかけた
「おい名前」
『……何?』
「…ちゃんと食べ物は食べるんだぞ」
『………うるさい』
僕は口ごもりながら言ってハセヲを追った
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