05


俺たちは事務所に戻った。
帰るときこっそり店頭を覗いたけど田中はいなかった。
やっぱりどうやらお持ち帰りされたようだ。

「つまりさ田中が本当の被害者だったっつうこと?」

俺は煮えきらない問題を、ベットに寝転がって休んでいる孝さんに尋ねた。
孝さんは横になったまま頷き、

「母親ネタで貢がせて、上手くいかなければ莫大な金を脅してふんだくる悪質な常習犯だった」

孝さんは俺をベットに手招きした。
素直に孝さんの横に座る。

「じゃあ田中に罪ないんじゃ、」
「だから、俺たちには被害者も加害者も関係ない。依頼が全てだからな」

耳タコのその言葉に俺は項垂れる。
仕事だからと割りきれないのは田中への同情か良心の呵責か。
孝さんは上半身を起こして俺の頭を撫でた。

「それが納得できないならこの仕事は向いてない。俺は何も強制しないぞ」

優しい行動とは真逆にキツい言葉をかけられて、俺は言葉に詰まる。

「今回は異例だよ。普通両者から依頼が来るなんてなかなかないし。片方しか知らなきゃ、どっちが悪いなんて考えもしない」

風呂を終えたルーが、タオルで身体を拭きながら出てきた。

「まあ、でも僕たちの"仕返し"は下な方法が多いから、それがキツいなら辞めた方がいいかもね」
「ルー、」
「裏稼業の分、稼ぎもいいし面白くみえるだろうけど、ただの悪戯好きにはもっと楽で面白いネタがたくさん拾える仕事が…、」
「ルー!」

孝さんが制止の声を上げた。

「かなめ、勘違いするな。ルーも俺もかなめが嫌いとかじゃない。好きだからこそ、だ」

ルーも頷いた。

「俺…」

自分の気持ちを言わなきゃ。





事務所の丸いキングベット。
朝だろうと夜だろうとココはいつも通りぎしぎしと揺れている。

「ああああっ、やぁっあんっあんあっ、あひいっあっあっ」
「どう僕のおちんぽビックでしょ?」
「ああんっんっ、お、おっき、いあああふぁっあああんっ」
「俺のがいいだろ、」
「っひゃああっ、あっあっあっ、うんうん、孝さんのっ大好きっああんっ」

そう、俺は"仕返し屋"に残った。
何よりこの人たちといる方が面白いと思う。
俺の鍛え上げた面白センサーが反応するのだから保証はできるさ。
あ、そういやルーに突っ込むとかいうふざけた話はなくなった。

「ああその話? 僕やっぱ突っ込まれるのは孝だけでいいや」

ニヤっとしたルーの後ろで孝さんもニヤっとしてた。
よく分からない人たちだな。

もしかしてこの人たちを暴いていくのが一番面白いことなのかもしれない。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -