03


俺たちの部屋。
孝さんはソファに座り、俺たちはベットで小さくなっている。

「ごめんなさい」

何度言ったか分からない台詞。

「プライベートだぞ」
「つい好奇心で…」

もうベットで土下座する勢い。
だって孝さんちょー怖い。
怒ってるのは一目瞭然で言い訳も出来ない俺たちはただひたすら謝るのみ。
そんな状態の俺たちをちらり、と横目で見た孝さんはふっと笑った。

「冗談だ。俺も黙って休んだからな、何も言えない」

よかったあああぁ。
ルーと互いに顔を見合わせて、安堵のため息をつく。

「誰と来たか知ってるんだろう? 紹介するからバーでも行くか」
「ええ!それは気まずいかも」
「お、俺も心の準備が…」

あからさまに過剰反応する俺たち。
孝さんは訝しい目を向けて、

「もしかしてお前ら盛大に勘違いしてないか」

呆れた風にため息をつく。
勘違い?

「違うって。だってこの目で嫁さんと子供見たし、」
「僕は見てないけど」

ルー余計な茶々をいれるなよ。
孝さんは立ち上がって俺たちの目の前でふんぞり返った。

「残念だが…俺はまだ独身だ」

目が点の俺とにやっとしたルー。

「お前が見たのは俺の姉と甥だ」






定番のオチを迎えてから一日経った。
結局孝さんは面倒くさいからとかそういう理由で俺たちには言わなかったらしい。
孝さんの姉はヨーロッパのどっかに住んでいて日本に帰ってくる度、孝姉さんがお気に入りのあのホテルに一緒に泊まるのが習慣だとか。
どっちにしても盛大な勘違いをしてた俺とルーは気まずくて孝姉さんに会えなかった。
ルーはこっそり勘づいてたらしいけど本当かどうかは謎。

帰ってきた俺は相変わらず事務所でセックスしていた。
孝さんも今日帰ってくる予定だ。

「あうっ、ルー、ルーっああんっあっあっあっいいっああっ」
「ん、はあ、ホテルマンとどっちが気持ちい?」

ルーはセックス中、誰かと比べるクセがあるようだ。
なんて嫌なクセ。

「ああ、やあっだって青姦だったしっひゃああああっ」

腕を引っ張られてガンガン奥を突かれる。
ルーにしたら珍しい激しいセックス。

「じゃあ今から外行ってやろっか。通行人に見せつけて、」
「だめだめっあっあっあっごめっルーのがあ気持ちいいっうんっいいよおっああああっ、」
「僕がそんな単純だと思ってる? 僕がいたのにふらふら馬骨の男についてって、」

こういうプレイは大好きだけど、いつものルーじゃない気がした。
生理的な涙が溢れてくる。

「もっと心から謝るまで許してあげないから。いっぱい気持ちよくしてあげる」
「はあああっんっあうっごめっごめんなさあっあああっんっもっむりぃっああんっ」

軽く恐怖を感じたところで、事務所の扉が開く。

「ただいま…っと今日は一段と激しいな」
「ああんっおかえっ孝さっあああっ助けっひゃああああっ」
「おかえり。今かなめの躾中なんだ」

孝さんが来たらやめると思ってたのに相変わらず突かれるは乳首つねられるはで止まる気配はない。
もちろん孝さんも助ける訳もなくサッと服を脱いでフェロモン全開にした。

「悪いけど今回は交ぜてやんないよ」

そう言われるのは分かってましたと言わんばかりに、荷物から何かを取り出して、

「いいお土産があるんだが」

そうベットに投げ寄越したものは、

「ビキニ?」

腰を止めたルーはにやり、と笑ってソレの封を破る。

「さすが孝」
「俺はビキニ姿見れなかったしな。せっかくだから買ってきた」

そう言いながらさっさっとベットに上がり込む孝さん。
そんなこと根に持ってたのか。

俺はもうビキニ勝負はやめようと決心した。




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