ノンケ改造計画


「これよーく見ろよ。頭空っぽにして」

5円玉が紐に吊られ左右に振れている。
ヒロトは無心でそれを目で追う。

「そうだ…良いぞ…」

無音の時間が長く過ぎた。
次第に目が虚ろになっていくヒロトはついに微動だにしなくなった。
嬉しそうに5円玉を振る男、ショウゴはヒロトの目の前で手を振り意識の有無を確かめる。

「ヒロト。アイーンして」

真顔でアイーンのポーズを決めるヒロトはどうやら催眠にかかったようだった。

「よし、もういいぞ。…しっかしお前ってほんと女好きだよな。毎日毎日違う女を連れてよ」

気だるそうに重くゆっくりとヒロトの口が開く。

「…そうです。毎日違う女とヤりたいんです」
「普段と変わらず正直だな。んじゃ、セックスはどんな風にすんの?」
「…いつも女にフェラさせて騎乗位です」
「ふうん。ヒロトは何もしないのか?」
「…時々腰を突き上げてやります」
「それはそれは…それだけ?」
「…はい」

ショウゴは細く微笑んだ。

「ヒロト、今から俺が言うことをしっかり聞けよ」
「…はい」
「ヒロト、お前は乳首が好きだ。舐めてほしい、いじってほしい。そうされると狂ったように感じてしまう。そうだろ?」

ヒロトが返事をしない。
長い沈黙にショウゴの額に汗が浮かぶ。

「…はい。乳首で感じます」

ショウゴは安堵の大きな息を吐いた。

「ヒロト、お前は女に飽きた。セックスのワンパターン化はそのせいだ。これからお前は俺に欲情する。俺の顔、身体、全てがお前の興奮材料となり、俺がほしくなる。そうだろ?」
「…はい、俺はショウゴが欲しい」
「よし…。じゃあ俺の部屋に来てからのことは全て忘れろ。今の話もだ。いいな」
「…はい」

パチン!

「…あ?」
「おう起きたかヒロト。人んち来といてなに寝てんだよ」

催眠を解かれたヒロトは状況が掴めず、ショウゴの言葉にきょとんと首を傾げる。

「まじか、わりい。全然覚えてねえや。あー…疲れてんのかなあ」
「ヤってばっかいるからだよ。今日もこれから別の女とヤんのか?」
「んー…いや、やっぱ疲れてんのかな、なんか気乗らねえわ」
「んだよ、大の女好きのくせに珍しいこともあんだな。大丈夫か?」

ショウゴは少し心配した風に、困惑しているヒロトの顔をそっと手の甲で触れる。
その感触にびくっとヒロトの身体が跳ねた。

「っ…!…ちょ、わり、俺やっぱ体調わりいみたいだわ。ごめん帰るな!」
「おい、ちょ…」

ヒロトは慌てたようにバタバタとショウゴの部屋を出ていった。
大きな音を立てて閉まるドアにショウゴは笑みを浮かべる。

「…まずは軽めに様子見。ははっ」

出ていくときのヒロトの真っ赤な顔。
ショウゴは満足気に5円玉にキスをした。







「っかしーなー、朝勃ちみたいなもんか?」

自分の部屋に帰ってきたヒロト。
緩く勃起したちんこはともかく、ショウゴに触れられた時に走った感覚に疑問を覚える。

「まあいいや。溜まってんだな、やっぱ女呼ぶか」

電話帳に腐るほどいる女の中からテキトーに選んだのが30分後にやってきた。
本当にどれでもよかった。
半分どうでもよかった。

「ヒロトー久々。ね、早くしよ?」
「おう…舐めろよ」
「ねえ、上も脱いで。たまには違うこともしよ」

面倒臭い。
やはり呼ばなければよかったと後悔し始めたヒロト。
振り払うのも億劫でされるがままに上着を脱がされる。

「何すんの?」
「んふー…ここ。触ったことなかったから、ヒロト好きかなあって思ってさ」
「ああ、乳首? 前試したけど俺全然感じねえよ」
「まじかー、残念」

口を尖らせた女。
つまらなさそうにヒロトの乳首を指で弾いた。

「…っ!」
「え、なになにびくんってなったよ。感じちゃった?」
「…はあ、んなわけねーだろ」
「分かった!乳首弱いからいじらせないんだあ、ヒロト見栄っ張りい」

否定はするものの、弾かれたときに味わったことのない気持ちよさが腰にずんっと響いたのは事実。
戸惑うヒロトと調子に乗る女。

「つんっ」
「んっ…く、!」
「ほらあ。やっぱり」
「うるせえ、はやく挿れろよ」

乳首を2、3度弾かれただけでヒロトのちんこは勃起した。
おかしい身体を不思議に思いながらも先を促す。

「もうしょうがないなあ。…んー、あれ?」

女が穴に先端をくっつけた瞬間、ヒロトのちんこはふにゃりと頭を垂れた。

「ふにゃちんじゃん」
「…お前もう帰れ」
「はあ? ここまでやらせといて帰れとかまじあり得ないし」
「帰れよ!!」

ヒロトは自分に跨がる女を突き飛ばした。
女は泣いて怒りながら部屋を出ていった。
ヒロトは静かになった部屋で1人、乳首とちんこを眺めた。

「…こんなんじゃなかったのに」

確かめるように乳首をつん、と触る。

「あっ…くそ、やっぱおかしい…」

こんな気持ちいいなんて。
ヒロトの指はもう止まらなかった。

「ん…くっ…あっ、やべ…ああぁっ、気持ちいっ」

先端を弾くと全身に電気のように快感が走る。
軽く爪で引っ掻くとそれが渦のように広がる。

「んだよ…っこれ、はあっ…くぅっ、あっ」

文句は垂れても乳首からはもう離れられない。
思いきって両乳首を強く挟んでみれば、ヒロトの身体は後ろへとしなった。

「ああぁっ…!ふっ、んっ…はあっ、くそっ…」

ぷっくりと赤く腫れた乳首。
これを舐めたらどんなに気持ちよくなれるか。
ヒロトは屈んで必死に舌を伸ばすが、どうやっても届かない。

「んんっ…もっ、はあっ…ん、ううっ」

諦め片手を乳首から外して、股間へ伸ばす。
さっき萎えたのが嘘のように先端から先走りが溢れ出ていた。
それを滑りにぐっちょぐちょと乳首の刺激に合わせて擦りあげる。

「っん、く…ああっ、やべえよ…んああっ、とまんなっ…気持ちい…っ!」

乳首をぐりゅっと押しつぶしさっきよりも強く摘まみ痛みを与え、ちんこはひたすらカリの部分を擦る。

「…んああっ、はあっはあっ…い、いきそっ…!んあああぁっ…ショウ、ゴ…いくっ…!!…あぁあああぁっ!!」

勢いよく飛び出す精子。
ティッシュで精子を拭き取りながら冷静になったヒロトは頭を抱えた。

「なんでショウゴの名前なんか…」

なんとも言えない後味の悪さがヒロトを包んだ。





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