「あ、雪降ってきちゃった。」 「これくらいなら大丈夫だろう。」 三成と買い物に行こうとして玄関の扉を開けると、灰色の雲からは絶え間なく雪がはらりはらりと落ちてきていた。 ふと名無しが隣を見ると、三成は上着のポケットに手を突っ込んでじっと空を見ていた。 じっと自分を見ている名無しの視線に気付いた三成は眉をひそめた。 「…なんだ。」 「なんか三成って雪景色が合うなあって思って。」 「下らないことを考える暇があったらさっさと用事を済ませろ。」 「はいはい。あ、ちょっと待っててね!」 ばたばたと家に戻って行く名無しの姿を見て、三成は短く溜め息をついた。 その顔は微かに笑んでいたのだが、誰にも見られることはなくただただ雪が降り続いた。 *** 「お待たせ!」 「なんだ、それは。」 戻ってきた名無しが手にしていたのは、真っ赤なマフラー。 「友達に貰ったマフラーなんだけど、最近雪降らなかったから忘れてたんだよね。」 「準備が出来たならさっさと行くぞ。」 「あ、ちょっと待って!」 今度はなんだ、と言おうと振り返った三成だが至近距離にいる名無しによって、その言葉は音にならなかった。 「な、なにをする…!」 「なにって…マフラー巻こうと思って。」 「貴様が身に付ければいいだろう!」 「実はこれ二人用なんだよー。」 「なっ…!」 友達が彼氏にあげようとしたらしいんだけど、別れちゃったらしくてさ。 そう付け加えた名無しだが三成の耳には少しも届かない。 背伸びをしてマフラーを巻き付ける名無しから三成は視線が外せないでいた。 三成がふと気が付くと既に首元にはマフラーが巻かれており、名無しの首元にも自分と繋がっている真っ赤なマフラーがあった。 「これで寒くないね。」 にこりと微笑む名無しを横目で見た三成は、マフラーに顔を埋めながら小さく小さく頷いた。 温もり --------------- 優様へ 相互記念 遅くなってごめんね…! 三成がなんかウブになってしまった(^q^) こんな夢で良かったらどうぞ…! (11/01/30) |