そのた | ナノ







姫始め




「元就ーあけおめー」
「…新年早々騒がしい奴だな、貴様は」
「せっかく挨拶に来たんだからもっと嬉しそうな顔すればいいのに」


そう私が言えば元就はふんっと鼻で笑って、炬燵の上の蜜柑を食べ始めた。くそっこの野郎め…。
見慣れた元就の部屋に入り、土産を炬燵の上に置いて私も炬燵の中に入った。
ほかほかとした暖かさに思わず顔が綻ぶ。外の寒さですっかり冷えた体にはたまらない暖かさだ。
テレビからは賑やかな話し声が絶えず流れてくる。
あぁ、正月だなぁ。と新年を噛み締めていると、壁にかけてある今年のカレンダーが視界に入った。


「なんか随分と古くさいカレンダーだね、なんか元就らしいけど」
「貴様…!蜜柑の汁を目にぶちこむぞ」
「いやあああ止めてっ!前言撤回するから!!」
「今になって許しを乞うなら最初から言うでないわ」


片手で眼鏡を押し上げ、元就は再び蜜柑を食べ始めた。
はぁ…危機一髪だった。
私はまたカレンダーへと視線をずらした。
よくもまあこんなカレンダーを見つけてくるもんだ。
明らかに今の時代じゃ使われてない漢字がいっぱいあるんだけど…。
あー、でも元就ならこれくらい朝飯前なんだろうな。元就って優等生だし。


「ん…元就…。これなんて読むの…。ひめ…ひめ…?なによ、この漢字…」
「一体何を見てるんだ貴様は」
「あれ、カレンダーの2日のとこに書いてある字」


そう元就に教えると、面倒くさそうにカレンダーへと体を向けた。
そして、確認し終わった元就は私に振り返って微笑んだ。
それはもう、素敵な笑顔で。
なんだか身の毛がよだったけど…。


「ほぉ…。貴様も随分と大胆になったものだな」
「は…?意味が分かんない」
「教えてやるからこっちへ来い」


ちょいちょいと私に向かって手を動かす元就の側へもぞもぞと忍び寄って行くと、いきなり肩を押されて床に倒れてしまった。


「いった…!ちょっと…いきなりなにす…」


耳元で聞こえた元就の声とくつくつと笑う声。
私が声を出す前に元就に口を塞がれてしまった。
なんてことを聞いてしまったんだろう…。
元就に聞くんじゃなかった。
そう後悔していたが、私の思考は元就と体への違和感に奪われていってしまった。









今更ながら姫始めネタ
昔のカレンダーには姫始めって書いてたらしいですね
そして今年初めての夢がこんなんですいません(^q^)
今年もこんな感じですが昨年に引き続きよろしくお願いしますー!
(12/01/17)








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