「宮田さーん」 「…何ですか」 「朝からずっとお腹が痛いんですよ」 「それで?」 「お薬持って来てくれたら嬉しいです」 「病院まで来ればいいじゃないですか。家だって病院に近いんですし」 「それがあまりにも痛くて身動き出来ません」
はぁ、と大きな溜め息が携帯の向こうから聞こえてきた。
「今、行きますから待ってて下さい」 「すいません、ありがとうござ…」
ガチャン、と家の扉が開く音が聞こえた。 思わず布団から這い上がろうとする名前に鈍痛が容赦なく襲い掛かる。 そうこうしている内に寝室のドアが開いた。 無表情で歩み寄って来る宮田の手には薬と水の入ったコップ。
「すいません、宮田さん…」 「別にいいですよ。ちょうど患者の診察が終わったところでしたから」 「それにしても、随分来るの早くないですか…?」
その名前の言葉を無視して、宮田は名前に薬とコップを押し付ける。 もぞもぞと起き上った名前が薬を飲むのをじっと見つめる宮田。 その視線に気付いた名前が急いで水を飲み込んで口を開いた。
「どうかしましたか、宮田さん…?」 「いえ、そんな調子で俺の子供が産めるのか心配になっただけです」 「そうですか…ってはいいい?!」
顔を真っ赤にして呆然とする名前に近付いて妖艶に宮田は微笑む。 名前の腰に手を這わせ、宮田は名前に口付けた。 くちゅくちゅと水音と名前のくぐもった声が部屋に響く。
ようやく唇を離した宮田は名前を抱きしめて、耳元で囁いた。
「俺と付き合ってくれ、名前」 「わ、私で良ければ…!」
そう名前が答えると宮田は幸せそうに微笑んだ。
告白ついでの訪問診療 (早く終わるといいですね) (嫌な予感しかしないんですけど…) (寝かせませんよ) (や、やっぱり…!)
--------------- 名前さんから電話が来た時点で宮田先生は薬片手に病院から飛び出してます(笑)
(11/06/25)
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