錆び付く涙
ガチャン、とドアが勢いよく閉まった。 その耳障りな金属音に思わずびくり、と体を震わせる。 疼く様に体の内部が痛み、熱を持っている体を無理やり動かしてドアの方へと体を向けると、やはり、その男がこちらへ向かって来ていた。
「いや…もう止めて…!」
そう訴えても、男は何も言わずに手に持っていたアタッシュケースをテーブルの上に置いた。 カチャン、とケースの開く音とカチャカチャと物がぶつかる音が絶え間なく聞こえてくる。 震える声でずっと嘆願するも、目の前の男は黙ったままだ。
数分経ったあと、男が私の方へと振り返った。 無表情で私を見つめるその瞳の冷たさに思わず息を飲んだ。
「諦めろ」
片手に注射器を持った男が私の元へと近付く。 反射的に逃げようと体を動かすが、難なく男に体を押さえつけられてしまった。
「どうして…アルバート…っ何でこんなこと…」 「俺に出会った時からお前はこうなると決まっていたんだ」
そう言い放ってアルバートは痣だらけの私の腕にその注射器を差し込んだ。
「いやっ…もう嫌なの…!っあああああ!!!」
途端に激しい激痛が体を襲い、身悶えて暴れる私を見てアルバートは満足気に嗤った。
「6時間後にまた来る」
アタッシュケースを手にして、アルバートは再びドアの方へと歩き出した。 チカチカと眩む視界の中必死に手をのばすが、彼のその背中に届くことはなかった。
実験体にするためだけに関係を持つという非情なウェスカーに滾ったので 次は変態ウェスカー書きたいです
お題お借りしました。 泣殻
(12/02/09)
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