最近変な夢を見るようになった。 青いコートを着た男に殺される夢を毎晩見るのだ。 昨日は溺死。一昨日は刺殺。 他にも窒息死だったり撲殺だったりとこの世にある殺人の全てを夢で見た気がする。 あまりにも気持ち悪いので友人に相談したら、 「ここ最近殺人事件が多いからよ。気にしない方がいいわ。」 と返された。 それだけでこんな夢を見続けることなんてあるのだろうか。 何かの前触れの様な、何とも言えない不安が日に日に募っていく。 *** ふと目が覚めると、部屋の中は真っ暗になっていた。 手元には読みかけの本が転がっており、読書の途中で寝てしまったことを示していた。 いつもの夢を見なかったことを#ヒロイン#は疑問に思いつつベッドから立ち上がりカーテンを閉める為に窓に近づくと、 ちょうど月が雲から現れ外の景色がぼんやりと映し出される。 すると、歩道を歩いている一人の男の姿がナマエの視界に映った。 その瞬間ナマエの息をのむ音が部屋に響いた。 カタカタと震えだすナマエの体。 ナマエの目は瞬きすることなく、歩道を歩く青いコートを着た男の姿と彼が両手で引きずっている物体をとらえていた。 ナマエは見続けていた。 遠くから見ても分かる、手足が可笑しな方向に折れ曲がり全身から血を流している無残な自分の姿を。 いつもなら夢で見るような光景が、現実で起こっている。 どうしてこのようなことが現実で起きているのか理解出来ないナマエはただただ目の前の異形から目が離せなかった。 すると忽然と消えた2つの異形。 さっきから何もなかったような外の景色にナマエは長い長い溜め息を吐く。 幻覚、だったのだろうか。 自分が思っている以上に精神は疲れているのかもしれない。 そう考えたナマエはカーテンを閉めた。 「こんばんは、ナマエ。やっと見つけたよ。」 刹那ナマエの耳元で響いた男の声。 咄嗟に後ろを振り返った先にはあの青いコートを着た男が立っていた。 頬や髪、コートのいたるところに赤黒い血が付いている男の姿を見てナマエの口から悲鳴が上がる。 その悲鳴を男は恍惚とした表情で聞き、呟いた。 「やはりナマエの声は透き通っていて綺麗だな。あの頃と変わらない良い声だ。」 「他人を君の姿にすることは出来るが、さすがに声まで同じにすることは出来ないからな。」 「愛しているよ、ナマエ。こんな世界じゃなく私の世界で一緒に生きよう。」 「死んでもずっと一緒だ。これほど幸せなことはないだろう?」 そう一気に捲し立てた男は手にした鉄パイプを握り締めた。 愛してる。 と言い続けながら、鉄パイプを何回も何回も#ヒロイン#の体に振り下ろす男の狂気がナマエを蝕む。 自らの血で濡れた顔に笑みを浮かべてナマエは呟いた。 「私も貴方を愛しているわ、ウォルター。」 今日から始まったきみ --------------- ウォルターは犠牲者の行動を操れるんじゃないかという仮説に萌えたので(^q^) 俺得すぐる\(^o^)/ 昔に一目惚れしたナマエさんを探しだして異世界に引き込むウォルターの話。 ヤンデレぷまいです(^q^) お題 guernica (11/01/30) |