「おはようございます、名前」 「……。兄さん、何処?」
真っ暗な室内で蠢く名前の両腕は酷く青白い。 私を求めて必死に手をのばす名前が愛おしくて愛おしくて愛おしくて。 思わず口角が上がる。
「ほら、兄さんはここですよ、名前」
細い腕を掴んで私の方へ名前を引き寄せる。 ぎゅーっと抱き締めるとそれに答える様に名前も私の背中へと手をのばした。
「ねぇ、兄さん」 「何ですか?」 「どうしてここから出してくれないの…?」 「…そんなの決まってるじゃないですか」
名前に害虫が寄らないようにするため、ですよ。 淳様まで名前に目をつけているんですよ、知ってました? 下衆の汚らしい視線が私の名前に向けられているだなんて、私には耐えられません。 名前は私だけのモノなんです。 あんな奴等に名前を奪われてたまりますか。 だから、名前の為を思ってこの場所を用意したのに。 それなのに名前はここから出たいというのですね。 兄さんがどれ程名前を愛しているとも知らずに。 なんて名前は悪い子なんでしょう。
「お仕置き、が必要ですね」
そう言うと、名前はかたかたと震え出した。 あぁ、その姿もとても可愛らしい。
「ごめんなさい…!もうここから出たいだなんて言わないから! 兄さんの言う事は何でも聞くから…! …兄さん…?嫌、止めて!何する、の」
「この綺麗な瞳には、私だけが映ればいいんですよ」
そっと、両手を名前の頬に這わせる。 ぼろぼろと涙を零す黒い瞳にはくっきりと。 絶望と怯えと声にならない叫びが渦を巻いている。
「私だけを見てください」
ぐち、と音と一緒に私の指が名前の眼孔へと埋まっていく。 おびただしい血が溢れ、名前の断末魔の様な叫びが私の鼓膜を揺さぶる。
名前が最後に見たのは私。 宮田さんでもなければ淳様でもない。 あぁ、この優越感だけで私は気が狂ってしまいそうだ。
狂った愛のロンド
(喰い尽くされるまであと少し)
--------------- ヤンデレ牧野さんで狂愛夢。 ギャップ萌えで出来たもの。 個人的に宮野さんは鬼畜の塊だと美味しい(^q^)←
お題お借りしました。 泣殻
(11/07/14)
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