ちょっとしたパロ。 ベッドの上でお互い全裸のまま余韻を楽しむのもそこそこに、臨也は俺にはもうない尻尾の毛繕いを始めた。 最初の頃は上半身裸を見られることすら恥ずかしがっていたこいつが、今では素っ裸のうえ平気で胡座をかいている。逆に俺が隠してくれと頼みたいくらいだ。 「いいよねぇシズちゃんは耳がなくて。俺は付け耳だってわざわざ自分で噂まで広めたのに」 何となく口寂しくて煙草に火をつけると、耳をピクピクと動かせながら臨也が睨んできた。さっきまで散々鳴き喚いたせいか目元は赤く、声も少し枯れていた。 「……似合ってるじゃねぇか」 「それは女の子にいいなよ。男は童貞ですってレッテル貼って歩いてるのと一緒だよ」 俺は童貞と言われても別にいい気もしないが悪い気もしない。つまりはどうでもいい。 耳が落ちたとき、子どもの頃からあったものが突然なくなって物凄く違和感を感じた覚えがある。鏡を見る度に変な感覚がするし、つい毛繕いをしようと尻尾を探してしまう。おかげで無くなった今も、俺は付け耳と尻尾をしていた。 「……恥ずかしいか?」 「それもあるけどさー……四木さんが毎回会う度に思いっきり尻尾握るんだよ。なんで嘘だってバレたのかな……」 またその名前か。たまに聞かされる他の男の名前に苛ついてしまう。仕事の取り引き相手だとは臨也から聞いていたし、前に一度見かけた事がある。 「……そう思うなら女捕まえて来いよ。手前なら簡単だろ?」 俺は臨也の尻尾や耳を、会う度に本物かどうか確認している。耳や尻尾を掴んで臨也が痛がる度にまだ大丈夫、こいつは俺だけなんだと安心できた。まぁ、それは相手が女限定だが。 臨也はぽかんとした顔で俺を見ていたが、すぐに眉をしかめて尻尾で俺の腕を叩いてきた。 「はぁ?何言ってんの。やだよ俺、シズちゃん以外となんかシたくない」 「……」 俺が驚いた顔をしていると、シズちゃんの相手なんか俺以外できないし、と慌てて付け足された。いくら得意の減らず口でごまかせても、赤くなった顔までは隠せない。 それが可愛くて愛しくて。くわえていた煙草を灰皿に押し付けて、毛繕いをしている臨也を抱き寄せた。 「……何急に」 口調はキツいが抱き締めた腕を振り払われることもなく、むしろ肩に後頭部を擦り付けてきた。耳が首筋に当たって少しくすぐったい。白い喉元を指で擽ってやると、ごろごろと喉を鳴らした。 「やっぱ手前は、そのままの方がいい」 「……ばかじゃないの」 パタパタと揺れていた尻尾は、しばらく俺の腕に絡み付いたまま離れなかった。 (そうだ、シズちゃんに俺が突っ込めばいいんじゃない?) (……) (ちょっと、急に後退りしないでよ) ラブレスパロのつもりがただの猫化っぽくなってしまった。性交すると猫耳が落ちる(取れる)んです。同性でもなくなるのかな…… |