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世界はこんなにも





つがるみたいになりたくて、もっと賢くなりたくて。皆に内緒で頭のよくなるソフトをインストールした。色んなことが一気に入ってきたから少し疲れた。でもこれで、つがると同じ世界が見れる。きっと綺麗なんだろう。そう、信じてた。

でも、実際は違った。お空を見ても何も感じなくなった。空は空だ。雲も綿菓子なんかじゃない。ただの水蒸気の塊だ。
見るもの全部、そんな風にしか感じなくなった。
これがつがるの見て感じていた世界なのか。確かに今までと違う。でもおれが見たかった世界はこんなのじゃない。

「サイケ……?」

ソファの上で膝を抱えていたら、つがるが心配した顔でおれを見た。いつもなら名前を呼んで、抱き締めてもらっていた。
おれはつがるのことが好きだ。でもさっきまで、その意味の意味をよく分かっていなかった。でも賢くなって分かった。それはつがるに言っていい言葉じゃない。

「どうしたの、つがる?」

あぁ、前はあんなにも好きだったのに、今は名前を呼ぶことすら苦しくてたまらない。
ねぇ、つがる。誰かを好きになるって、本当はすごく痛いんだね。

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