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最近動悸が治まらない。ずっと熱っぽい。飯を食べるのも辛い。風邪かと思ったが、頭が痛いわけでも、喉が痛いわけでもない。あと、動悸とかは臨也に会うと酷くなる。これは何の病気なんだ。
それにしてもこのクッキーおいしいな。

「前にも同じこと聞いてきたよね。そんなの僕に聞かないでよっていうか何なわけわざわざ休みの日まで喧嘩売りに来たの静雄そんな暇あるなら原因の臨也に言ってきなよ。『手前見てるとムラムラする。ヤらせぐはぁっ!!」

珍しく新羅は怒っていた。どうしたんだ。カルシウム不足か、セルティと喧嘩でもしたのか。とりあえず昼間から破廉恥な事言うから殴っておいた。
子どもが聞いてたらどうするんだ。第一臨也にそんなこと言えるか。顔真っ赤にして恥ずかしがるに決まってる。

「俺らには早すぎるだろ。まだ高校生なんだぞ」
「ムラムラは否定しないんだね」
「ちげぇよドキドキだ」
「……うぇっ」

つい熱く語り過ぎて、持っていたコップの取っ手にヒビが入った。デザインからして何かのオマケについていたやつだろう。最近こんなコップしか出されない。前に高いやつ壊したから根に持ってるんだろうな。

「……あのさ、静雄は具体的に臨也とどうなりたいの?」
「どうなりたい?」

愚問だ。いつかは臨也に白いウェディングドレスを着てもらうんだ。あいつは黒の方が似合うが、流石に結婚式に黒は場違いだ。じゃあ赤はどうか。臨也の目は綺麗な赤い色をしている。
前にずっと見つめてたら、見てんじゃねぇ!って屋上から突き飛ばされたけど。照れ隠しに突飛ばすとか可愛いすぎんだろ。

「顔がにやけているよ静雄くん」
「幸せな思い出にひたってんだ。邪魔してんじゃねぇよ」
「じゃあそろそろ帰ったらどう!?」

やっぱり新羅はカルシウム不足だな。今度牛乳持ってきてやろう。カルシウム入りのウエハースもつけてやろう。

それはそうと、結婚したらまず家だ。俺の稼ぎで養えるか心配だが、家に帰ったら臨也が待ってると考えるだけで24時間働ける。いや、24時間働いたら臨也と一緒にいれなくなるから却下。

一緒に暮らしたら、毎日送り迎えは絶対だ。帰ってきて玄関開けたらエプロン着たあいつが立っている。中からいい匂いがしてて、おかえりって返される。その後はお決まりのあのセリフ。

「ちくしょう……飯か風呂か俺の三択されたら最後しかねぇだろ……」
「ちょっと、血でソファ汚さないでよ」

あぁ、また鼻血出た。最近よく出るな。部屋にあったティッシュを鼻に詰めていたら、インターホンが鳴った。

「セルティ?セルティかい!?なんて君はタイミングがいいんだ!!」

新羅はソファにつまづいても這いつくばって玄関へ行った。やっぱりセルティがいなくて寂しかったのか。いつまで経っても子どもみたいな奴だ。
セルティに挨拶しておこうと俺も玄関に向かった。そしたらそこにセルティではなく。

「……臨也」

玄関には臨也がいた。
臨也はいつもの学ランじゃなく、ジーパンにシャツというラフな格好だ。
ぜひ待ち受けにさせてくれ。


「あ、シズちゃんだ」
「ほら臨也来たよ二人で帰って早く何か壊れる前に帰ってとりあえず帰れ」

新羅も臨也が来て嬉しいのだろう。目に涙を浮かべながら壁を何度も叩いていた。

休みの日まで会えるとか運命だとしか思えない。そしてなんだこの状況は。

家に入ってくる臨也。中から出迎える俺。ちょっと立ち位置が違うが、これはまさしく未来の二人じゃないか。だったら言うことは一つしかない。

「おかえり」
「え?なに」
「おかえり臨也」
「……ただい、ま?」


首を傾げながらだなんて予想外過ぎる。走ってもないのに呼吸が荒くなった。

「とりあえず僕もここにいるんだから、耐えて静雄!」
「手前が出ていけば問題ねぇだろ」
「ここ僕の家なんですけど!?」














(手前の好きな色ってなんだよ)
(うーん……ピンク?ちょっとシズちゃんクッキー全部食べないでよ)
(ピンク、と……うまいんだから仕方ねぇだろ)
(お願いだから二人とも帰ってください)
(心配すんな。ちゃんと家には連絡してある)
(俺も門限ないから大丈夫だよ)
(門限とかの話じゃないんだよ……)


















新羅の休日はたいてい静雄に潰される。
臨也は暇だから、からかいに来ただけ。


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