小説 | ナノ
兄弟



高校生静雄と中学生臨也
両親に愛されてない臨也








両親曰く、俺は可愛くない子どもらしい。いつも人を見透かすような目をしていて、子どもらしい言動をしないからだそうだ。
そう言われたとき、俺にはよく分からなかった。でも成長してその意味が分かってから、俺が両親の関心を引こうと努力することはなくなった。それと同時に、だからあの二人は俺を見ないようにしていたのかと、妙に納得してしまった。
俺が小学生になった頃の話だった。




両親は俺に対していつも何も言わない。元から仕事に生きているような人たちだから、授業参観や懇談にも来たことはない。最近は出張で家にいることも少なくなった。それでもきちんと住む家はあるし、ご飯だって自分でどうにかできる。
最低限のことをしてくれるのなら後はもうどうでもいい。愛情なんてものなくても、子どもは成長するんだ。


俺には4つ歳の離れた兄がいた。年上なのに俺と違って子どもっぽくて馬鹿で、自分の気持ちに正直な人だった。恐ろしいほど気が短く、よく喧嘩をして帰って来ていた。俺に怒ったことは一度もなかった。

そんな兄を両親は溺愛していた。俺がテストで満点をとっても何も言わないのに、兄が少しでもいい点をとるととても喜んでいた。
両親が家にいないことが多いせいか、必然的に二人で過ごす時間は増えてしまう。
俺にはそれが怖くて仕方がなかった。両親の気持ちに気付く前は、いつも兄と一緒にいた。母さんはそれが気に入らなかったらしいけど。
それでも俺は、口は悪くても優しい兄が大好きだった。

でも、もう俺から話しかけることはほぼない。兄が俺に話しかけるたびに、この人まで両親に嫌われたらどうしようといらぬ心配ばかりしていた。大好きな兄にだけは同じ思いをしてほしくなかった。だから寂しくても我慢するようになった。泣きすぎたせいか、涙は出なくなった。



久しぶりに出張から帰ってきた両親は、出迎えた兄と一階のリビングで話している。学校はどうだとか、勉強はしているのかとかそんな話をしているんだと思う。
俺は両親が返ってくる前に自分の部屋に戻った。二人を出迎えないのかと兄に言われたが聞こえないふりをした。二人だって俺がいない方が嬉しいに決まっている。
現に俺が部屋にいると分かっているはずなのに様子を見にも来ない。二人にとって子どもは、一人しかいないんだ。

これ以上余計なことを考えたくなくて本を読んでいると、だんだん眠くなってきた。寝た方が楽かもしれない。そのまま俺は重たい瞼を閉じた。
これで、楽しそうな笑い声を聞かなくて済む。鼻の奥がツンとしたけど、流れるものは何もなかった。





どれくらい経ったころだろうか。同じ間隔で背中を叩かれる感覚に目が覚める。うっすらと目を開けると派手な色の髪が目に入る。

「あ……」
「あぁわりぃ。起こしたな」

すぐ目の前には兄がいた。目の前というよりはすぐ隣だ。床で寝ていたはずの俺はベッドの上にいた。その横に並ぶように兄は横になっていた。息がかかるくらい近くて、思わず後ずさってしまった。

「床で寝んなっていつも言ってんのによ……」
「……ごめんなさい」
「まぁ風邪ひかなきゃいい」

内心俺はパニックだ。あまり必要以上に関わりたくない。嫌われた方がいいかもしれないと一時期思って無視もしてみたけど、無理だった。俺が先に辛くなった。両親に嫌われて悲しかったが、たぶん兄に嫌われるのはそれ以上に悲しい。
だからいつも嫌われないように、それでいてあまり関わらないように接していた。なのにそれを知ってか知らずか、兄は昔と変わらず接してきた。

「……父さんと母さんは?」
「あ?買い物行った」
「何で行かなかったの?久しぶりに帰ってきたのに」
「……」
「ど、どうしたの?」

急に黙り込んでしまった兄に少し焦ってしまう。眉間には皺が寄っている。何か機嫌を悪くするようなことを言っただろうか。謝った方がいいと思って口を開こうとしたら、掛け布団を頭までかぶせられてしまった。

「うぎゃっ」
「……いいからもう寝ろ」
「も、もう眠くない」
「俺が眠いんだよ」
「え」
「おやすみ」

そう言って兄は本当に寝始めた。流石に気まずいと思ってベッドから起きようとすると、兄にシャツを力いっぱい掴まれていた。いくら力を込めても指は離れない。少し爪を立ててみたがびくともしなかった。
兄は一度寝たらなかなか起きない。嫌というほど俺はそれを知っていた。
仕方なく風邪をひいたら大変だから、布団を半分かぶせた。二人分には当たり前に小さくて、身体を少し寄せた。

「……」

すぐ近くに聞こえる呼吸音は、なんだか心地よかった。それが兄だと思うとなんだか、いたたまれなくなったけど。
寝ているのを確認して、服を掴んでいる手にこっそり自分のを重ねる。凄く安心する。冷たい俺とは違ってとても温かかった。
この人だけ俺に笑いかけてくれるなら、両親や他の人になんて思われてもどうでもいいかもしれない。
そんな夢みたいなことを思いながら、俺も同じように目を閉じた。

















ぜ、全然シズイザじゃない……
とりあえず近親相姦書きたくて。

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