小説 | ナノ
お兄ちゃん




高校生静雄と小学生臨也の兄弟パロ
冷めてる臨也くん







数年前に他界した親戚曰く、俺は可愛くない子どもらしい。いつも人を見透かすような目をしていて、子どもらしい言動をしないからだそうだ。全くもってその通りだと思った。

両親は何も言わない。元から仕事に生きているような人たちだから、授業参観や懇談にも来たことはない。最近は出張で家にいることも少なくなった。
それでもきちんと住む家はあるし、ご飯だって自分でどうにかできる。最低限のことをしてくれるのなら後はもうどうでもいい。愛情なんてものなくても、子どもは成長するんだ。


それに俺には4つ歳の離れた兄がいた。年上なのに俺と違って子どもっぽくて、自分の気持ちに素直な人だった。

両親が家にいないことが多いせいか、必然的に二人で過ごす時間は増えてしまう。俺がまだ小さい頃は毎日一緒に寝るくらいべったりだった。今はその反動かあまり会話もないが。


最近、今みたいに河原でぼんやり考え事をすることが多くなった気がする。放課後に誰かと遊ぶこともなくなった。次の誘われてたときの言い訳、何がいいだろうか。
「臨也じゃねぇか」

背後から聞きなれた声がして振り返ると、高校の制服を着たままの兄が立っていた。制服は所々泥がついていたり、顔には擦り傷ができて血が出ていた。きっと喧嘩でもしたのだろう。

兄はとても気の短い人だった。言葉遣いも丁寧とは言えないし、髪も金色に染めているせいか上級生によく目をつけられているらしい。

噂にしか聞いたことがないが、俺には信じられなかった。

小さい頃、俺はよくこの人にわがままを言って困らせていた。今思えば両親に構ってもらえない寂しさを、八つ当たりしていたんだと思う。それでも怒ることは一度もなくて、いつも文句を言いながら何でも聞いてくれた。

「こんなとこで何してんだ」
「別に何となく。にいにこそ何でここにいるのさ」

高校への通学にこの道は使わないはずだ。偶然でも出会わないようにちゃんと調べていたのに。
何故か急ににやにやと気持ちの悪い笑顔を浮かべて兄は隣に座った。

「……なに」
「いや、まだその呼び方してたのかと思って」
「っ!」

言われてから自分が無意識にそう呼んでいたことに気付いた。
6年生にもなってその呼び方はまずいと思って、必死に別の呼び方をこっそりと練習していたのに。
だからあまり兄と話したくない。他の人相手だと平気なのに、この人相手だとどうしてか色々とぼろが出てしまう。

「も、もう呼ばない……」
「何だよ今さら」
「……うるさいっ」

恥ずかしくなって抱えていた膝に顔を埋めていたら、頭をがしがしと撫でられた。頭がぐらぐらするからやめて欲しいのに、笑っているにいにと目が合って何も言えなくなる。
そういえばちゃんと顔を見たのは久しぶりだ。俺が避けているのが一番の原因だけど。

「帰るぞ、臨也」
「……うん」

こんな風に名前を呼んでもらったのも久しぶりだ。学校では皆名字で呼んでくるから。
そんなことを考えていたら、いきなり手を繋がれた。恥ずかしかったけど悪い気はしなくて、バレない程度に握り返した。にいにはまた嬉しそうに笑って、今度は優しく頭を撫でてくれた。




















色々模索してた別パターン。
気に入らなくて没に。

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