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すきっていって



津←サイ








真っ白なベッドの上、二人手をつないで座る。
窓の外からは真っ黒な雲が見えた。もしかしたら雨が降るのかな。雷が鳴るかも。怖くて無意識につないでいた手に力がこもる。握り返されることはなかった。手をつなぐようにお願いしたのはおれ。ベッドに座ろうって言ったのも、おれだった。

「つがる、ぎゅってして」

そう言ったらつがるはおれを抱きしめてくれる。こんなにもくっついているのに全然温かくなくて、それどころか心は冷たくなっていく。つがるはおれのわがまま全部聞いてくれた。でも、本当にそれだけだった。言ったことしかしてくれない。手をつないでと言わないと、触れられることすらない。

「つがる、あたまなでて」

しゃべってってお願いしてないからつがるは何にも言わない。名前も呼んでくれない。
おれはどこかで期待してる。もしかしたらお願いしなくても、何か言ってくれるかもって。でも、そんなこと今まで一度もなかった。ずっと黙っておれの言う通りに動く。まるでお人形みたいに。

「つがる、ちゅうして」

これだってお願いしないとしてくれない。触れている唇はカサカサしていて、それ以上のことはしてくれなかった。
言わないとしてくれない。そんなのキスじゃない。あぁ、でもつがるとおれは、こいびとでも何でもなかったね。おれが泣いてもつがるは何も言わない。慰めてって言わないと背中をさすってもくれない。
だからね、おれはいつも同じことを最後には言う。それをしたら、少しでもつがるに愛されているような気がしたから。そんなことありえないって知ってるんだけど。

「つがる、えっちなこと……して」

つがるは頷きもせずにおれが前に言った手順で服を脱がせて、身体に触れていく。おれが言ったのと全く同じ順番で。
これは愛がないとできないらしい。でもおれとつがるは、愛がなくてもできるみたい。

背中に触れてるシーツは冷たくてきらい。でもつがるはすき。頬っぺたに流れた涙は、誰も拭いてくれなかった。















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