小説 | ナノ
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どんなに手荒に扱っても、臨也の反抗的な態度は変わらなかった。流石に殴られると怯える素振りを見せたが、すぐにあのよく喋る口で苛立たせる言葉ばかりを並べた。それは怖がっているのを誤魔化しているようにも見えた。

「ほんと気色悪い。シズちゃんがこんな悪趣味してただなんて俺も知らなかったよ」
「その悪趣味な野郎に突っ込まれてよがってんのは手前だろ」
「あぁもうホントに死んで」

そんな悪態もベッドのパイプに鎖部分を通された手錠を、両手に嵌められた状態で言われてもただ滑稽なだけだった。必死に力をこめて閉じようとしている足を無理矢理開かせる。そこには先ほど挿入した細身のバイブがあった。まだ電源すら入れていないそれは、ただの異物感しか感じないようだった。このままだとローションのせいもあってすぐに抜けてしまいそうだ。
俺は今から仕事で結構な時間戻って来れない。あいにくこの部屋には閉じ込められるような場所もなければ、鍵もこいつにかかればすぐに壊されるだろう。仕方なく段ボールに入っていた手錠で拘束してみたものの、どこか頼りない。ただ突っ込んでいただけのバイブを、前立腺に当たるように調節してみる。途端に臨也は目を細めて喘ぎ始めた。

「も、やめ……」
「……なぁ手前よぉ」
「んぁ、な、に」
「何でこんな尻で感じんだ」

そう言った瞬間、臨也はビクリと肩を震わせて俺から顔を背けた。普段とは明らかに態度が違った。

「……し、知らない」

それからはいつもの腹立たしい減らず口もなく、ただ唇を噛んで臨也はこれ以上声を出さないように耐え始めた。それが無性に気に入らない。何か他にないかと辺りを見回すと梱包用のガムテープが目に入った。
中に入りきらない部分を固定するように、バイブを適当な長さに千切ったガムテープで押さえつける。見た目は不格好だが、これで出てくることはないはずだ。

「ちょっと、何して……」

テープの上からバイブを押し込んでみる。ぬちゃりという音を立てながら中に入っていくそれは、手を離すとゆっくりと外へ出てきた。

「う、あっあぁっんっそれ、やだぁっ」
「窓開けられるのと、これ縛られんのどっちがいい」
「んっな、にが、うぁっ」

口では気持ち悪いような反応をしているが、性器はこれでもかと勃起している。今にも射精しそうな性器を指で弾くと、臨也は目をつぶるだけだった。

「両方だな」
「な、なんでっ」

首元に着けていた蝶ネクタイを外して根元を縛る。黒い布地は先走りに濡れて色が濃くなってしまった。おそらくすぐにとれてしまうだろうが、今の臨也には些細な刺激もキツいはずだ。ベッド横にある窓も全開にした。窓の外には隣接した建物があるわけでもなく、室内を覗かれる心配はない。声はだだ漏れだろうが。

「俺がいねぇからって逃げんじゃねぇぞ」
「え、うそ、このまま?」
「なんだよ、これじゃイけねぇってか」

仕方なく使わないつもりでいたバイブの遠隔操作用のリモコンのスイッチを一気に強にする。途端に手錠をガシャガシャと鳴らしながら、臨也は全身を痙攣させた。足先がシーツを引っ掻く。

「ひあぁぁぁぁっ!やだっやだぁっシズちゃ、やだ、これやだぁっ!」
「あんまでけぇ声出すと外に聞こえるから我慢しろよ」
「あっあぁ、んぁっいやぁぁっあ、うっあぁ」
「……聞けよ」

もう一度ガムテープ越しにバイブを奥深く押し込む。すると全身を震わせて射精することなくイったようだ。その姿をまた携帯で撮影する。画像の中の臨也は、うっとりとした目で俺を見ていた。






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