いつも人を睨んでばかりいる瞳が今は閉じられて、私だけが知っている優しい表情を浮かべていた。 白くて肌触りの良い頬を指で撫でて、そのまま輪郭をなぞりながら首筋まで滑らせる。くすぐったそうに身を捩るのが可愛くて、つい頬にキスしてしまった。 恥ずかしいから止めろと、顔を真っ赤にして言われたのはいつだったか。寝てることをいいことに、リップ音を立てたのだけど彼女は起きない。 そのまま調子に乗って、この前誕生日にプレゼントしたパジャマのボタンを外していく。 私のことを嫌いと言うくせに、貰った物に罪はないからとちゃんと使ってくれる。照れ隠しなのがバレバレだ。 部屋の電気は消していたが、カーテンを少し開けているので月明かりでよく見えた。 私とは違って、これでもかと大きな胸に少し嫉妬する。大人っぽいレースのあしらわれた黒のブラ。 これも私が買って来たものだ。基本的にシズちゃんは色々と遅れている。私と出会うまでブラを着けたことがないと聞いたときは、驚きよりも恐ろしさの方が強かった。 首筋に顔を埋めて、わざと見えるところに赤い痕を残す。 本人は気付いていないが、彼女には隠れたファンがいる。だから、これは虫よけだ。 綺麗についた赤い痕に満足して、何度も舌で舐めてあげる。か細く上がる喘ぎ声にドキドキした。シズちゃんの右胸に耳を当てると、私と同じように鼓動は早かった。ちょっと嬉しい。 ブラの上からゆっくり胸を触ると、瞼がぴくぴくと動いた。私の胸は片手でも隠せるのに、シズちゃんのは凄く大きい。同じ女なのに酷い。私のはいくら揉んでも大きくならないくせに。 ブラの下に手を突っ込むと生暖かい感触が直に伝わってきた。万年冷え症な私にはちょうどいい。 先端を刺激するように指を動しながら反応を見ようと顔を上げると、見覚えのある瞳と目が合った。 「……あはは」 「……何してんだ、手前」 「あー……ま、マッサージ?」 ごまかすようににっこり笑ったけどシズちゃんも同じように笑って、そのまま私をベランダへ放り出してしまった。 「え、ちょ、外は酷い!シズちゃん開けてよ!」 夜中だなんて気にしない。いくら5月だからって夜はまだ冷える。風邪でも引いたらどうしてくれる。シズちゃんに看病……してもらえらた嬉しいけど、絶対してくれるわけない。 私の訴えも虚しくシズちゃんはガラスの向こうで手を振りながら、勢いよくカーテンを閉めてしまった。 別にピッキングすれば開くんだから平気だもん。でも、もしかしたらため息吐きながらも入れてくれるかもって思ったけど、結局空がうっすら明るくなるまで待っても開けてはくれなかった。 (うわぁぁぁぁぁ!?) (朝から煩いよシズちゃん。誰かさんのせいで風邪引いて頭痛いんだから騒がないで) (な……なんだこの首の、あ、赤いやつ!) (え?……うわぁ気の早い蚊だ!首筋集中狙いだなんて変わってるね!) (どう見ても手前が付けたんだろうがぁぁぁぁぁ!) 後悔何それおいしいの?← こんな悪ふざけしかありません。 全寮制で同室という都合のいい設定があったりします。 |