小説 | ナノ
飴と鞭と


ビッチなサイケ



誰にでもあどけない笑顔を浮かべるサイケに微笑ましさを覚える一方で妬ましい気持ちにもなる。
サイケは誰に対しても好意を持つ。それだけならいいのだが、弟であるデリックとは好きではないのにセックスする仲だ。俺とするようになってからは回数が減ったと本人は言うが、遊び感覚で二人はやっているらしい。
セックスは好きの延長線上にあるもの。そう考えている二人は兄弟だから問題ないと、当たり前のようにセックスをする。日々也に試したいことがあるからその前に試させてくれとデリックが言えば、サイケは何の抵抗もなく受け入れる。それを何とかしてやめさせたいのだが、俺にはどうしていいのか分からなかった。
第一本人たちに自覚がないのが困る。サイケは俺のことを好きだと言うし、それに嘘はないのだろう。だからと言って他の男と寝ることを容認できるほど、俺は心の広い男ではない。

「よく我慢できるな、お前」
「まぁ……自分でもおかしいと思ってるんですけど」

とりあえずまともな人の意見を聞こうと、俺は静雄さんに相談してみた。俺の話を聞くとそんなことしてるのかと若干驚いたものの、真剣に話を聞いてくれている。やはりこの人の相談したのは正解だった。臨也さんと付き合っている静雄さんは浮気を許さない。それどころか他の男と触れたり二人きりになることも許さないらしい。俺もサイケを誰かと二人きりにさせたくはないが、そこまで強要していいのか分からなかった。

「俺なら怒るけどな。他の男とやってんじゃねぇって、俺以外のやつとできなくなるくらい犯してやる」
「でも、サイケには優しくしてあげたいし……」
「俺はお前のその優しいところいいと思うけどよ、甘やかし過ぎるのはよくないぞ。母親だって子どものこと怒るだろ?それは子供が大切だからだ。たまには怒らないと」

指でさすようにアイスをつついていたスプーンを向けられる。静雄さんの言っていることはもっともで、確かに最近サイケは言うことを聞かなくなった。デリックのことだけでなく私生活においても。

「怒るって、どうやればいいのか……」
「あー……理由が理由だしな。少し身体に覚えさせる必要があるから尻でも叩けばいいんじゃねぇか」
「そ、そんな!痛いですよ!」

反射的に静雄さんが標識を振り回している姿を思い出す。その力で叩かれたら痛いどころの騒ぎではない。俺も静雄さんほどではないが力は強い方だ。サイケには反省してほしいができるだけ痛い思いはしてほしくない。

「もちろん手加減してだぞ。臨也は最近喜んじまって意味ねぇけど」
「……」
「このアイスうまいな」

静雄さんは差し入れに持ってきたアイスに夢中になり始めた。臨也さんはサイケ以上にわがままで我が強い。そんな人を手懐けているのだから静雄さんはよほどそういう教育がうまいのだろう。全てはサイケのため。

「甘やかしすぎは、よくないか……」

好きだからこそ、大切に思うからこそ厳しくする必要がある。サイケのためにも俺が動かなければいけないと、そう思った。



「サイケ、話があるんだが……」

帰宅してすぐサイケの声がした部屋を覗くと、そこには全裸のサイケとデリックがいた。何をしていたかは聞かなくても分かる。またか、とため息をつくがそれで終わってはいけない。サイケが反省すればきっとこれもなくなるんだろう。

「どうしたの?つがる」

話があるからとサイケを呼べば、下着とコートを身につけ俺の後ろをついてきた。生々しい身体の痕に今すぐ風呂に入れたくなる。何の罪悪感も感じていないサイケは甘えるような声で俺の名前を呼ぶ。それに惑わされてはいけないと静雄さんの言葉を思い出した。

「……そんなに痛い思いをしたいのか?」

きょとんとするサイケを布団に押し倒して、すぐさま下着を脱がした。現れる白い尻は相変わらず綺麗だが、俺と寝てもいないのに尻の穴は先ほど使ったからか赤く色づいている。

「ど、どうしたのつがる。えっちしたくなったの?」

まだ物足りなかったのかサイケは頬を赤らめながら腰を揺らした。逃げられないように身体を押さえつけながら、尻に手のひらを這わせた。くすぐるような感触にサイケは小さく声を漏らす。もっと触ってと言わんばかりに腰を突き出してきた。

「お仕置きしような、サイケ」
「……え?」

びっくりした表情を浮かべるサイケを無視して、右手を振り上げる。そしてそのまま強く叩きすぎないように加減しながら振り下ろした。

「ひぃっ!」

パチンッと心地のいい音が響く。叩かれたサイケの尻はくっきりと手のひらの痕がついていた。それに味を占めてもう一度振り下ろす。サイケの尻は触り心地がよく、肌も白いから叩き甲斐もある。真っ赤になっていく尻に比例してサイケの悲鳴に近い泣き声も大きくなっていった。

「やめて、つがるいたいよぉ!」
「そうか。お仕置きなんだから痛くないと意味ないな」
「サイケが、ひあっ!……すきなのは、つがるだけ……い、やぁ!」

泣きながら嫌がるサイケは俺から逃げようと手足をばたつかせた。力勝負じゃ負ける気はしないが、暴れられると叩きにくい。羽織っていた着物を脱いでサイケの上半身に被せる。腕を縛り上げるように袖をくくれば尻だけを出した状態になる。顔も着物で隠れたせいで悲鳴もだいぶ小さくなった。それでももごもごと叫んでいる声は聞こえてくるが。

「サイケと同じこと、俺もしようかな」
「ひっく……ふぇ?」
「サイケがデリックとしてること、俺も日々也とする。そしたらお互い様だな」
「やだやだ!つがるはサイケとしかえっちしちゃだめ!」
「なら、どうしてサイケは他の男とするんだ?」
「んひぃ!らって、あれはあそびなの……あんっ!」

喋っている間も叩く手を止めない。白かった尻は真っ赤に腫れ上がっていた。熱を帯びているそこを舌で舐めると、しみるのかサイケは痛い痛いと繰り返した。さすがにもう反省しただろうと叩く手を止める。恐怖からか尻は小刻みに震えていた。

「サイケは遊びでデリックと寝るのか。そうか、なら俺も日々也と遊びで寝るよ」
「もうしない、つがるとしかえっちしないから……ひびやくんとえっちしちゃ」
「……ちゃんとごめんなさいは?」
「デリックとえっちして、ごめんなひゃい……つがるだけ、つがるとしかえっちしない」
「……そうか」

サイケの言葉に満足して着物をはぎ取ると、サイケは口から涎を垂らし頬を赤く染めていた。着物にはいくつ染みができている。それは明らかに涎や先走りだけではない。それに嗅いだことのある匂いが漂っていた。

「……まさか」
「あ……やぁ……」

恥ずかしがって嫌がるサイケの足を開かせると、そこには濡れた性器があった。滴っているのは精液ではない。覚えのある刺激臭にサイケの顔を見れば真っ赤にして目を瞑っていた。

「……漏らしたのか、サイケ」
「ち、ちが……!だってつがるが、おしりたたくから……」

また泣き出すサイケは濡れた俺の着物から目を背けてくる。それをサイケの身体に押し付けると、やだやだと首を振った。

「じゃあ証拠残そうか」
「しょう、こ……?」
「そう、サイケが二度と浮気できないように」

首を傾げるサイケを抱えて、デリックの部屋に行く。もちろんサイケは全裸の状態でだ。ドアを開ければデリックが下着姿でくつろいでいた。

「……あ?」
「ほらサイケ、言わないと」

なかなか反省の言葉を口にしようとしないサイケの尻に手を伸ばし、穴を撫でた。さっきまで使っていたその場所はヒクヒクと疼いている。後ろで感じるサイケからすれば、もどかしくてたまらないはずだ。

「さ、サイケはデリックともえっちする……わるいこ、です。だから、つがるがおしおきしたの」
「……うん、それから?」
「サイケは、つがるとしかもうえっちしません。サイケは、おしりたたかれておしっこしちゃう、わるいこ、なの。つがるのきもの、よごしちゃった」

足を開かせてまだ湿り気の残るそこをデリックに見せる。いくら兄弟でセックスする仲とはいえ、流石に漏らしたことは恥ずかしいらしい。

「ひっく、もうしないから……ゆるしてぇ」
「……うん、ごめんな。怖かったよな」
「つがる、こわかったよぉ」

反省した様子のサイケを抱きかかえて頭を撫でる。これくらいすればもう二度と変なことはしないだろう。唯一の救いは、サイケにとって初体験が俺だということだ。そうでなければ今頃デリックを海に沈めていたかもしれない。

「……で、お前は?」
「もちろん俺もサイケと金輪際しません!」
「……その言葉、忘れるなよ」

にっこりと笑えば、デリックは何度もうなずいた。サイケはもじもじと恥ずかしそうに俺を見上げている。厳しくした分、今度はそれ以上に甘やかしてやらなければ。静雄さんが言っていた。怒った後は。それの倍以上甘やかすといいと。



サイケが気絶してしまうほど激しく犯した後、デリックの悲鳴が聞こえてきた。助ける気なんて微塵もなかったが様子を見に行くと、日々也が愛馬用の鞭片手にデリックを狙っていた。

「待て、待てって日々也!俺は日々也一筋だから!」
「サイケがお仕置きされたんだ……デリックもしないと……」
「ひぃぃぃぃぃっ!」

サイケの尻を叩いたときに比べれば耳障りな音が響いた。悲鳴も何の面白みもない。わずかに開いたドアを閉めきり、リビングにあったソファで塞いでおいた。
もしまたサイケが浮気をしても、こうすればきっと。











鬼畜な津軽も好きです。
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