目が覚めると部屋の外が騒がしかった。まだはっきりしない頭を動かし、羽織っただけのシャツのボタンを留める。一応下着を穿いて部屋を出ると、首にタオルを巻いたデリックの前でサイケが頬を膨らませていた。 「ちゃんとねるまえにシャワーあびなきゃだめでしょ!」 「あーはいはい」 「はいはいっかい!」 「はーい」 デリックはめんどくさそうに返事をする。明らかに反省していない。そんな態度にサイケは納得いかないようだったが、私を見ると飛び跳ねるように抱き着いてきた。 「おはよう、ひびやくん!」 「お……おはよう」 サイケは嫌いではないが苦手だ。デリックと兄弟ということで何かと兄ぶりたがる。ほとんど空振りで終わってるが。 「ひびやくんもおこらなきゃ!」 「……う、うん」 「サイケ、ホットケーキできたぞ」 「え!あ、はーい!」 リビングから聞こえた津軽の呼ぶ声にサイケはバタバタと慌ただしく去って行った。デリックはうんざりしたようにため息をつき、部屋に戻ろうとする。すれ違うとき、デリックは私にしか聞こえないような声で耳打ちした。 「……今日は仕事ねぇから」 「……うん」 耳に触れる息が熱い。誰にも言えないデリックと私の秘密の時間が始まる。 床の上には、正座をしたデリック。ベッドの端に座りながら、私はそれを見下ろしていた。膝の上の拳はこれでもかと強く握られている。よっぽど限界なんだろう。そうなるように仕向けた甲斐があったというものだ。 「……日々也様お願いです。ヤらせて下さい」 「……」 つくづく思うのだが、この男は本当に馬鹿だと思う。元になった男もなかなか馬鹿なやつだが、デリックはそれ以上だ。もっと遠回しな言い方というものができないのだろうか。それともそれほど追い詰められていると考えるべきか。 「そうだな……私をその気にさせたらいいぞ?」 今にも私に飛びかかってきそうなデリックの首につま先を当てれば、しゃぶりつくように指を口に含んできた。 「ふふ、惨めとは思わないのか?自分と同じ男の足を舐めるなんて……」 蔑む言葉に返事はない。ただデリックは足の指を一つ一つ丁寧に口に含んでは、はぁはぁと息を乱していた。 「日々也……」 焦らすようにズボンを脱いで、下着をデリックに投げつける。怒るどころか期待を含んだ視線を私の下半身に向けてきた。太ももに手を添えて足を開けば、デリックは顔を私の性器へと顔を近付けてきた。ハァハァと荒い息が当たる。 「どうしたい?」 「せ、性器を舐めたい、です……」 「もっとはっきり言えばいいだろ?」 「ちんぽを、舐めさせてください」 「へぇ……それだけでいいのか」 「そ、それから……尻の穴に俺のちんぽを挿入したい、です」 焦ったようにデリックはズボンと下着を脱ぐと、勃起した性器を私に見せてきた。既に先走りでどろどろになっているそれは、汗で蒸れているようにも見える。 「ここに、この汚ないちんぽを突っ込みたいのか?」 既に先走りを床へと溢しているデリックの性器を足で踏む。指で挟んだり先っぽを押し潰すように足を動かすと、デリックは私の足にしがみついてきた。 「う……あぁ……っ」 「でかさだけは相変わらずだな」 動かしにくかったが構わず続けるとデリックは涎を垂らしながら喜んだ。まるで私の足で自慰をしているようだ。射精する寸前で踏むのを止めると、すがるような目で私を見てくる。それを無視しながら自分で尻の肉を掴み、その奥を見せつける。 「あ、あぁ……」 「ほら、舐めてもいいぞ?」 ひくひくと疼くそこに熱い息が当たる。デリックは太ももを撫でながら、露になった尻の間へと顔を突っ込んだ。舐めるわけでも指を挿入するわけでもない。ただ鼻先を押し付け、すんすんと匂いを嗅ぐだけの行為。足を持つのを止めるとこれでもかとデリックに足を開かされた。 「あ……んっ!」 「日々也、いい匂いする、スゲー興奮する」 「尻の、匂いを……あぁっ!嗅ぐなんて、あ、んぁっ」 傷んだ髪を掴みながら何とも言えない感覚に耐える。自然と腰が揺れた。デリックは満足し終わったのかすぐに穴の周りを舐め始めた。じゅるじゅると下品な音が響く。まるで味わうように舌を動かしては、太ももにも噛みついてきた。ここまでくればこの男は躾のなっていない犬と同じだ。主人の命令を無視し、ただご褒美を貰うために勝手な行動をする。 「ひ、うぅ……!」 穴の中にまで舌を捩じ込まれ、びちゃびちゃと音を立てている。早く繋がりたいと言わんばかりのデリックは腰を振り、床に自分の性器を擦り付けていた。 十分尻が濡れたのを確認して、デリックを蹴り飛ばす。それさえも興奮しているのか、性器を片手に私を見つめてきた。 「ほら、言え」 「……日々也の、ぐちょぐちょけつまんこに……俺の、粗末な勃起ちんぽを、挿れさせてください」 「……挿れてその後は?」 「腰を掴んで、粗末な勃起ちんぽで奥まで犯したい、です。日々也が自分でちんぽをおねだりするくらい、ぐちゃぐちゃにさせて下さい……」 今にも射精しそうな性器を掴み、穴に擦り付けてやる。先端を刺激したせいで唇を噛みながらデリックは耐えていた。 「ふふ、よく言えました」 ご褒美と言わんばかりに先端を少し挿入すると、一気に腰を進めてきた。 「う、うぅ」 「ふあぁぁぁぁぁっ!」 ぶちゅぶちゅと性器の隙間から精液が飛び散る。いつもながら量の多いそれはすぐに中を満たした。だがそれだけで犬が満足するわけがない。一度味をしめた犬は、もっともっととせがみ始めるのだ。 「は、はいってりゅ、勃起ちんぽ奥まで……あぁんっ!」 上からのし掛かるように腰を押し付けられる。パンパンと肌がぶつかり、出された精液をデリックの性器が掻き出す。尻は精液でぐちゃぐちゃになり、顔は自分の涎で汚れていた。 「日々也ぁっ!」 「あ、んあぁっデリックぅ、ちんぽ、ちんぽずぷずぷするぅ!」 顔を掴まれ乱暴に口付けられる。先ほどまで尻を犯していた舌が、今度は口内を好き勝手に動き回った。互いの舌を絡めて唾液を交換しては腰を押し付け合う。既に数えきれないほどデリックの性器を受け入れた身体は、尻を犯されないと快楽を得られなくなっていた。 「ん、ふぅ……ぷはぁっ!あひ、あ、あぁっしゅご、い、あぁっ」 「日々也ぁ、気持ちいいの好きだよな?今日はずっと繋がってよう。俺のちんぽ抜いても穴が広がったままになるくらい」 「あひ、あぁっ!お前、は……セックスのことしか、頭にない、のか……んあぁっ」 このまま好きにさせても良かったが、生憎私はそこまで優しくない。腰を動かすのに必死になっているデリックの首に腕を回してキスをねだると嬉しそうに噛みついてきた。隙をついてデリックの腹を思いっきり蹴飛ばした。 「ぎゃっ!」 勢いよくデリックは床へと倒れ込む。抜けた性器は反動で腹をびたびたと打ち付けていた。 「お前にだけ、好き勝手させるわけない、だろ……」 性器ではなくその下の袋を踏みつけると、デリックは悲鳴を上げながら悶えた。太ももが痙攣したように震える。きっと痛みの方が強いんだろうが、性器が萎えることはなかった。 「一日中セックスしたかったら、中の精液を舌だけで掻き出せるよな……デリック?」 「あ、あぁ……っ」 自分で指を突っ込んで穴を広げる。中に出された大量のそれはどろりと溢れてきた。太ももに垂れたそれを舐め、じゅるじゅるとデリックは穴に吸い付いた。自分の精液だ。きっと嬉しいはずがない。だがすべてがご褒美に思えるこの犬はただ性器を勃起させるだけだった。 「ふ、あぁ、お前は私の犬、だから、な」 デリックは嬉しそうに頷く。穴を舐めただけで震える性器を私に向け、まるでマーキングのように私の身体に射精した。 えろくれ……! |