小説 | ナノ
それは愛じゃない


津サイ、デリ→日々前提の津デリです。津軽が酷いです。









この男は、本当に最低だと思う。

「本当に、見かけだけだな」
「な、にが……?う、くぅ……っ」

俺は少なくともセックスには愛が必要だと思っていた。日々也のことは大好きだし、抱きたいとも思う。恋人同士でもないうえに、友人としてもあまりよい関係は築けてないが。最近、愛なんてなくてもセックスはできるんだと知った。ただ足を開けばいい。簡単なことだった。
「サイケと似ているのは身に付けているものだけだと思った」
「はっ……よく、今兄貴の話できる、よな……」

ネクタイで縛られた手首が痛い。痕が残ったらどうしてくれる。言いたい言葉は全て飲み込んだ。この男はきっと心の底から兄貴のことを愛してるんだろう。俺は乱暴に扱うのに、兄貴にはまるで壊れ物のように触れている。羨ましいと思ったことはない。そんなもの俺と津軽の間にいらないし、俺はただ日々也が好きだ。津軽は俺のことが気に食わないからこういうことをするらしい。サイケが俺に構うから、お前がサイケの弟だから。津軽は気付いていないようだが、俺からすればただの嫉妬だ。

「サイケはお前とは違う。綺麗で、真っ白で、尊くて、そして愛おしい。あいつは無条件に愛される」
「ひ、あ、あぁっ」

中に挿入された指が奥を引っ掻く。そこを触られる度に身体がひくりと震えた。

「そこ、やめ……っ」
「感じるところは同じ……かな」

ぶつぶつと呟きながら、津軽は嫌だと言った場所を何度も引っ掻いてきた。その度に曝された性器からは先走りが雫のように垂れて、シーツを汚していく。俺のベッドで乱れるのは日々也の予定だったのに、まさか自分がこんな目に合うなんて。津軽が着物を緩めているのを見て、あぁもう突っ込むんだなと思った。必死に縛られた手でシーツを掴んで目を閉じる。

「そうやって普段からしおらしくしていれば、少しは可愛げもあるんだけどな」
「うるさ、い」

上にのし掛かられて、重いわけではないがうめき声が出た。さっきまで指が挿入されていた場所が、ぎちぎちと拡げられる。男相手にセックスなんてしたことないが、なるほどこれは辛いと思った。

「は、あ……」

落ち着く間もなく揺さぶられる。耳を塞ぎたくなるような音が絶えず聞こえるが、生憎縛られていてできない。

「ふぅ、ん、あっ」

俺の声が気に入らないのか、すぐに口を手で覆われる。息苦しくなるから嫌だった。やけくそに手を噛んでやると、口内に指を突っ込まれる。吐き気がしたが、出るのは唾液だかりだ。涎まみれになった自分の手のひらを見て、津軽は舌打ちした。ざまぁみろ。

「あ、兄貴にも、中に、出してんの?」
「まさか。サイケの負担になることはしたくない」

なんだ、負担になるって分かってるのか。そのくせ俺にはゴムしないのな。あぁ、最低だ。

サイケの前では絶対に煙管を吸おうとしないこいつは、俺を犯した後必ず吸う。身体についた俺の匂いを消すためらしい。口から吐き出された煙はすぐに消えていく。

「なぁ」
「……何だ」
「何で、ここまでするんだ?」

縛られていた手首は案の定擦り傷ができていた。中に出されたそれも処理されることもなく、穿いた下着を濡らしている。早くシャワーを浴びたい。だが疲れた身体では動くのも億劫だった。津軽は数回瞬きをした後、口元を歪めた。そしてクスクスと何が面白いのか分からないが笑っていた。兄貴はこいつのどこがいいのだろうか。

「……サイケを愛してるからだよ」

そう言った表情はとても穏やかで、さっきまであんなことをした男とは思えなかった。なんだか無性に、日々也に会いたくなった。











ついったのデリックのbotにときめきすぎて辛くて書いた。

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