小説 | ナノ
終わりもなければ始まりもない


シズイザが普通にサラリーマンしてる話。ちょっとエロい。





人の溢れる電車の中。毎日毎日朝は通勤ラッシュ、帰りは帰宅ラッシュ。元からあまり人ごみと言うものは好きではなく、体力もさほどあるわけでもない。つり革につかまって過ごせる自信はない。だから俺はできるだけドアに近い場所をいつも陣取っていた。そこには手すりもあるし、もたれかかることもできるからだ。それでも大きな揺れには身体はふらついててしまう。週末ということもあっていつも以上に疲れていた。下を向いて目を閉じていると、車内は大きく揺れた。

「すみませ……あれ、シズちゃん」
「……よぉ」

ちょうど後ろにいた人にぶつかり謝罪しようと振り返れば、そこには同じ会社に勤めているシズちゃんがいた。彼は俺とは違い営業部で働いている。高校も同じだったが、部署が違うせいもあってあまり顔を合わせることはなかった。もしかすると数か月ぶりに話したかもしれない。

「今日も外回りしてたの?」
「まぁ営業部だしな。お前はデスクワークか?」
「そうだよ。座りっぱなしでパソコンとにらめっこだから、目も疲れた」
「そりゃ大変だな」

俺よりも体格が良く、体力もあるシズちゃんは人に押されようがびくともしていないようだった。それを羨ましく思いながら、しばらく他愛のない話をした。相変わらず車内が窮屈なことに変わりはなく、駅につく度降りてはまた人が乗り込むと言う事を繰り返していたが。

「わわっ」

ちょうどカーブを通ったのか、車内はまた大きく揺れた。あちこちから小さな悲鳴が聞こえる。俺も手すりを持っていたものの、バランスを崩して向かい合っていたシズちゃんに抱きつくような体勢になってしまった。「ご、ごめん」
「別にいいっての。もう少しもたれてろよ」
「……ありがと」

シズちゃんは背が高い。そのおかげで俺は周りから見にくく、この体勢でも変な目で見られることはない。シズちゃんの言葉に甘えることにした。でも距離が近いせいで話すたびにシズちゃんの息遣いもすぐそばで聞こえる。妙に落ち着かない。こんな至近距離に人がいること自体、そうそうない。

「ま、毎日これだと疲れるよね」
「……そうだな」

それから他愛のない話をしばらく続けたが、疲労による眠気が襲ってきた。揺れる頭を数回シズちゃんの肩にぶつけてしまった。最初こそ謝っていたが、だんだんと遠くなる意識。元から車や電車のような揺れは心地よくてすぐに眠くなる。ぼんやりと窓の外を眺めていると、妙な刺激に気付いた。シズちゃんの膝が俺の足の間にあった。シズちゃんが人混みに押される度に、太ももが股間を押してくる。最近忙しくて抜いていないせいもあって、だんだんと変な気分になってきた。

「ん……あ……」

思わず上がった変な声に慌てて口元を押さえた。ただ足が触れているだけなのに変な気分になるのはおかしい。どうにか気分を落ち着けようと別のことを考えるが、電車の揺れは止まらない。そんな俺の様子に気づいた静ちゃんが心配そうに顔を覗き込んできた。

「あ?どうした、臨……」
「う、あぁ……」

シズちゃんは俺の下半身に視線を向けると、一瞬驚いたような顔をした。こんなにも反応していれば誰だって分かってしまう。周りにばれたらどうしようと焦っていると、シズちゃんは無言で俺の肩を掴んできた。

「な、何……?」
「……」
「え、あ、嘘……っ」

シズちゃんはただ黙って膝で股間を刺激してきた。さっきまでの偶然と違って意図を持って触れて来るそれに、嫌でも反応してしまう。逃げ様とするが、壁とシズちゃんに挟まれているせいでほとんど身動きが取れない。それどころか動いたせいで余計に下半身を擦り付ける形になってしまった。

「ふ……うぅ」
「……我慢、すんなよ」
「え……?」

思いもよらない言葉に顔を上げると同時に、電車が大きく揺れた。シズちゃんの身体は俺の方へ倒れ込んで来て、今までにないくらい膝が食い込んだ。

「―っ!」

その衝撃で、ついに俺は射精してしまった。先走りとは違うそれは、じわじわと下着に染み込んでいく。咄嗟に声をあげそうになるのを必死に耐えて、自分の手を噛んだ。

「……もう着くぞ」
「あ……」

知らない間に自分の降りる駅まで行っていたようだ。汚れてしまったズボンを必死に鞄で隠しながら、シズちゃんの後をついて歩く。一応は見えないように配慮はしてくれているようだ。二人して向かったのは改札ではなく、駅のトイレだった。



駅のトイレと言うのはあまりいいイメージがない。特に男子トイレは汚い印象だった。あまり利用したことはなかったが、意外にも中は明るくまだ清潔感はある。運がいいのか悪いのか、中には誰もいなかった。

「う、わわ……」

洋室のトイレに二人して入った瞬間、シズちゃんは俺のズボンのベルトを抜き取ってきた。手早くズボンを下ろすと、そのまま靴を脱がせてズボンまで奪われてしまう。便器のふたを閉めて、そこに座ったシズちゃんは膝の上に乗るように指示してきた。脱がされたズボンと上着を棚に置いて、言われたとおりにする。俺はシャツに下着姿になっているのに、シズちゃんの服装に乱れはない。何だか不公平な気がした。

「シズちゃんは脱がないの?」
「ずらすだけで済むだろ」

シズちゃんは俺が落ちないように肩を支えながら、片方の手で自分のベルトを緩めた。下着をずらせばすぐに飛び出したそれは、すでに溢れ出している先走りを勢いよく飛ばした。

「よくこんな状態で電車乗ってたね……」
「まぁ苦しかったな」

シズちゃんの性器は体格のせいもあるのかとても大きかった。長さだけでなく太さもあり、正直俺は何一つ勝てそうにない。呆気にとられる俺をよそに、シズちゃんはさっさと俺の下着をずらして可哀想なサイズのものを握ってしまった。

「ちょ、ちょっといきなりそんな……」
「んなこと言っても、早くしねぇと人が来るかもしれないだろ?」
「そう、だけど……」

お互い勃起してしまったから抜くためだけにここに来たとはいえ、何とも色気もムードもなかった。自分の物と俺のものを合わせると、シズちゃんの手はそのまま上下に動き始めた。先走りのせいでくちゅくちゅという音がトイレには響く。久しぶりなせいもあって、俺のはすぐに勃起した。必死にシズちゃんの服を掴んで強すぎる快感に耐える。何としてでも先にイキたくはなかった。サイズでも負けてさらに早漏なんて恥ずかしすぎる。

「ん、んぅ……」

自然と揺れてしまう腰をどうにかしたかったが、無意識にやっているせいもあってどうにもならない。シズちゃんは先端を指先で弄り始めてしまった。

「それ、やぁ……!」

急激に高まる射精感。自慰など滅多にしないが、どうやら俺はそこを触られるのが好きみたいだ。俺の反応に気を良くしたシズちゃんは何度も先端ばかりを弄った。腰を揺らすことでお互いの敏感な部分が擦れ合い、シズちゃんも気持ちよさそうに目を細める。学生時代でも、こんなことしなかったのに。

「ひ、うぅ!」
「……っ!」

ぐじゅ、という音を立ててシズちゃんの手を汚すそれ。量の多さに驚いていると、どうやら俺だけでなくシズちゃんも射精したらしい。少しばかり息の乱れたシズちゃんはティッシュを取ると丹念に白濁をふき取り始める。その間二人に会話はない。ただ俺はシズちゃんの膝からどくわけでもなく、その様子をずっと見ていた。

「……」

シズちゃんは何を言うでもなく、ただ抱きしめて来た。当然のように俺も抱きしめ返す。俺にそういう趣味はないし、きっとシズちゃんも普通なんだろう。その日以来関係が特別進展することもなければ、今までと変わらず飲みに行っている。ただその日から俺は、シズちゃんの名前を呼びながら抜くようになってしまった。

















電車とか車の揺れが好きです。すぐに寝れる。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -