小説 | ナノ
子犬は狼でした


ちょっとエロい。




その日は朝からとても眠かった。昨夜もきちんと8時間以上睡眠をとったはずなのに。

「あ、あの……六臂さん?」

俺の身体の上には六臂さんが乗っていた。薄い紅色をした唇から、瞳と同じ真っ赤な舌をちらつかせながら。まるで猫のように笑う六臂さんの白くて細い指は俺のシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していく。一体何をするつもりなんだろうか。

「ねぇ、月島」
「は、はいっ」
「僕ね、もう我慢できない」

その顔は見たことがないくらい苦しそうに歪んで、思わずどうしたのかと頬に手を添えた。触れた肌は冷たくて、俺の手が熱すぎるように感じた。六臂さんはにっこり笑うと、開いたシャツから覗く肌を猫のように舐め始めた。くすぐったい感触に身体が震える。

「六臂さ、ん……」
「月島はイヤ?僕とこういうこと、するの……」
「い、嫌とかじゃなくてこういうことはその……えっと」
「……なに?」
「え、エッチなことはいけないというか……」

俺と六臂さんは恋人関係というものになる。俺は六臂さんが大好きだし、六臂さんも俺のことが好きだという。でもそれは静雄さんや臨也さんたちとは随分違って見える。首に嵌められている首輪はお風呂と寝るときしか外してくれない。六臂さんは俺がいなくなるのが怖いらしい。こうして目に見えるもので繋がりを確認できないと、不安で不安で仕方がないのだと。

「大丈夫。やり方はちゃんと聞いたから」
「だ、誰に……!」
「んぅ……サイケ」

六臂さんはそのまま胸の尖りをペロペロと舐め始める。たまにちぅっと吸われて変なくすぐったさに鳥肌が立った。笑い声が出そうになるのを必死に我慢していると、拗ねたような六臂さんと目が合う。

「……どう?」
「あの……くすぐったいです」
「……それだけ?」
「え、あ……はい」
「……ううん」

六臂さんは首を傾げながら今度はお腹を舐めてきた。今度ばかりは我慢できずに吹き出してしまう。しまったと後悔したときには遅くて、六臂さんは暗い顔で爪を噛み始めていた。まずい。

「あの、俺ばっかりはずるいんで……六臂さんにもさせて下さい」
「……え?」
「もしかすると俺と六臂さんじゃ、色々と違うかもしれませんし。その……感じるところとか」
「……わかった」

爪を噛むのを止めた六臂さんは頷くと、恥ずかしげもなく服を全て脱いでしまった。初めて見た六臂さんの裸。俺とは違って文字通り傷ひとつない、綺麗な身体だった。触れれば柔らかく、流石に恥ずかしいのか六臂さんの顔は桃色に染まった。さっきされたように胸の尖りを指で触れる。色素が薄いように感じるそこを、まるで消毒するみたいに何度も舐めた。

「や、あぁ……月島ぁ……っ」

いつも以上に可愛らしい声を上げながら六臂さんはシーツを握り締めている。俺はくすぐったさしか感じなかったが、どうやら六臂さんは違うらしい。もじもじと太ももを擦り合わせ、その中心は僅かだが勃ち上がっている。

「他にどんなこと、サイケさんから教えてもらったんですか?」

それを掴んで先端を指で撫でると、とろとろと透明な液体が溢れてきた。忙しなく開閉する唇に自分のを重ねると、すがりつくように背中に腕が回される。ちょっと噛んだ爪が痛いかも。でも可愛い。目の端に溜まった涙を脱ぐってあげると、上擦った声で名前を呼ばれる。今まで感じたことのないこの気持ちは何だろう。

「ふ……あ……」
「俺にも全部教えて、六臂さん?」
「月、島……」

六臂さんが俺に首輪を着けたがる気持ちが分かった気がする。だって今とっても、このまま六臂さんを部屋の中に閉じ込めておきたい気分だ。





















アンケートより「月六で我慢できない六臂とエッチなのはいけないと思います!な月島」でした。月島ノリノリじゃないか……おい……
月六でエロは難しいですね!なんか恥ずかしくてフェードアウトさせてしまった。またリベンジします。
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