男のくせに綺麗に手入れされた爪がボロボロになっているのを見て、ただ純粋にもったいないと思った。 肩を震わせながら、すがるようにコンクリートの壁に頬を擦り付けていた。ざらざらとした壁のせいで、恐らく顔には傷ができている。この男は赤の他人から見れば、顔は整っているらしい。あの腐った性格がなければ、自分もこの顔を純粋に綺麗だと思えただろうか。 「い……たいっ……も、やめ……!」 振り返った顔には、案の定細かいすり傷ができていた。それ以上に、いつもの憎らしい顔が涙とよだれで悲惨な状態になっていることに酷く興奮した。 細い腰を掴んで無我夢中に打ち付ける。控え目だった喘ぎ声がさらに大きくなった。白い尻から自分の赤黒い性器が出入りする。それは先走りと中の腸液でてらてらと光って、見ているだけで射精できそうだった。 はっきり言って、これまで性行為をしたことがない。相手がいないのもあるが、正直興味がなかった。さらに下手をすれば相手を殺してしまうかもしれないからだ。それが一番恐ろしかった。 ならば死んでもいい相手なら構わないのではないか。そう思ったとき浮かんだのは、残念ながら同じ男だった。しかし以前、男同士でもできると今犯している本人から聞かされた。あれは嫌がらせの一貫だった。まさか自分がされるとは、思ってもいなかっただろう。 「あっあっ……!」 パンパンと肌のぶつかる音がさらに激しくなる。穴を拡げるように尻を左右に引っ張ると、ひくつくそこがよく見えた。 「やめ……みる、なぁっ……ひぃっ!」 力を込めすぎたのか、腰の辺りには手型がついていた。折れていないだけ良いか。臨也の足が地面から浮くほど律動すると、肌が密着するほど奥へ押し込み射精する。そのまま腹に付くほど勃起した臨也の性器を力任せに掴み先端に爪を立てると、ビクビクと痙攣しながら臨也も射精した。 「あっあっや……ん、うぁ……あぁっ!」 それに伴って穴が締まる。なかなか気持ちの良い感触だった。性器を抜くと穴から白いドロリとした精液が白い太ももを流れていく。 それが酷く卑猥で知らず喉がなった。押さえつけていた身体を離すと、臨也は地面に倒れた。必死に息を吸いながらも、涙で潤んだあの赤い目で睨み付けてくる。いつもの威勢の良さはなかった。その涙とよだれで汚れた顔に、欲情している自分に気がついた。 下半身だけ晒された臨也の格好はまさしく強姦後だった。きっと今誰かが来れば、自分は犯罪者になるのだろうか。 先ほど引き裂くように脱がした臨也の下着で、下半身をある程度拭う。だが中に出したものまでは処理しきれなかった。 精液で汚れた下着を履かせるわけにもいかず、そのままズボンを履かせた。臨也はただ黙ってその動作を見つめていた。 それなりに身なりを整えてやると、ぐったりとした身体を背負う。放置されると思っていたのだろう。流石にそれには驚いたようで抵抗してきた。面倒だった。足首を掴んで力を込めると、小さな悲鳴を上げて大人しくなった。これからもっとこいつの歪んだ顔を見ることができる。そう思うと自然と口角が上がった。 |