小説 | ナノ
さぁ早く告白しなさい





一度目に入ると視線を反らせない。たぶんこれは病気なんだと思う。前に新羅に言うと不治の病だ手遅れだと言われた。







ちらちらと見える白い肌。窓から入る風になびく黒い髪。






俺はかれこれ30分は臨也の首筋を見つめていた。









臨也は可愛い。それはもう言葉では言い表せないくらいに。口が悪いのがたまにキズだが、それすらも今は愛しく思える。必死に俺をナイフで刺そうとする顔はたまらない。走ると当然だが顔を赤らめて息を乱す。そりゃ毎日追いかけ回したくもなるよな。

走った後の臨也を思い出して一人幸せに浸っていると後ろから肩を叩かれた。

「見すぎだよ、静雄」

新羅はうんざりとした表情でため息混じりに行った。別に見てるだけだ。誰にも迷惑なんてかかってないだろうに。軽く頭突きを食らわせて黙らせる。
そうこうしていると臨也は眠いのか頭が揺れ始めた。たまに身体がビクッとなって、恥ずかしそうに周りを見回している。見ると耳が赤くなっていた。
可愛い、可愛すぎる。なんであんなにかわいいんだ。
チャイムが鳴ると臨也は食堂へと向かった。俺もそれについて行く。また新羅がうるさかったが、俺は臨也と昼飯食べるんだ。別に約束はしていない。でも臨也は俺と食べたいと思ってるはずだ。そうに違いない。

臨也はおにぎりを2個買ってくると屋上へ向かった。あそこは人が少なくて好きだと前に言っていた。俺もサボるのによく使っている。同じものが好きだなんてこれはもう両想いだろう。早く告白してこいよ。

臨也は日陰になっている場所へ腰を下ろすと、おにぎりと一緒に買った紅茶を飲み始めた。その隣に俺も座る。よく米とそんなものを合わせられるもんだ。少し気分が悪くなったが臨也の幸せそうな横顔を見たら元気になった。なりすぎたくらいに。

「シズちゃん何食べんの?」

俺の持っていた袋を漁る臨也。ほとんど弁当の日が多いが、今日はコンビニでパンを買ってきた。

「あ、これおいしいよね。俺も好き」

中からクリーム入りメロンパンを取り出すと一口食べていい?と首を傾げ気味に聞いてきた。もう全部食ってもいい。代わりに俺に手前を食わせろ。

「じゃあ手前もおにぎりよこせ」
「いいよ?」

って言えたらいいのにな。
臨也の食べかけのおにぎりを口に放り込む。シャケだった。それよりも俺は重大な事実に気付いた。これはさっきまで臨也が食べていたもので、ようするに臨也の唇が当たっていたもんだ。これは間接キスか。唾液が着いていたかと思うと興奮した。前にこっそり拾った箸並みに嬉しい。

「うまい、な」
「でしょ?まぁホントはシャケマヨが食べたかったんだけどさ」

中身が零れたのか臨也は指に付いているクリームを舌で舐めていた。赤い舌がちらちらと見えては白い生クリームを舐めとっていく。卑猥だ。昼間っから何でそんなに誘って来るんだ。
午後の授業二人でサボりてぇ。屋上が嫌なら保健室でもいい。やっぱり相手の意見は尊重するべきだ。いや、初めてはお互いの家がいいか。俺の家今日誰か居たっけ。
臨也が俺を見つめてくる。きっと何が言いたいのか悟ったんだ。やっぱり手前も家がいいよな。あそこのコンビニ、ゴムあったかな。

「シズちゃん、鼻血出てるよ」
「……は?」

下を向くと白いシャツに赤い斑点ができていた。興奮し過ぎだろ俺。血は落ちにくいんだぞ。

「ごめん、ティッシュないから借りて来るね。ちょっと待ってて!」
「いや別に平気だから行かなくていいからっつーか行くなぁぁぁぁ!!」

あ、よくよく考えると臨也に心配されてる。その事実が嬉しくて思わず紅茶のパックにささってるストローを盗っちまった。別に俺は悪くない。悪いのはあんなに可愛い臨也だ。
また宝物が増えたなぁと思いつつ、垂れる鼻血をそのままに、臨也の食べていたメロンパンにかじりついた。






(最近、シズちゃんの鼻からの出血率が高過ぎるよ新羅)
(若いから仕方ないよ)










これからもっと酷くなる静雄。

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