小説 | ナノ
籠のような檻



引きこもり弟静雄×兄臨也





少しばかり普通の人間とは違う体質を持ってしまった俺の弟は、いつも泣いてばかりいた。それが周りのせいだと俺は知っていたから、彼が傷付かないようにといつも守って来た。弟は本当に優しい子だったから。
でもそれができたのも小さいうちだけ。学校が別々になり大勢の前に出るようになった俺の弟は、人を怖がるようになってしまった。

いつしか家から出るのを拒み、ついには自分の部屋から出るのを拒んでしまった。そんな弟を両親は見離しこそしなかったものの、どう扱っていいのか分からなくなってしまったらしい。
その気持ちは痛いほど分かるから二人を責める気はない。でも弟はついに、俺以外の人間すべてを拒むようになってしまった。

「シズちゃん、入るよ……?」

硬く閉められていたドアの向こうは、真っ暗で何も見えない。一日中カーテンは閉め切られていて、よどんだ空気が部屋には充満している。
こういう場合、床には物が散乱しているというパターンが多いが、この部屋には気持ち悪いくらい何もなかった。俺は迷わずベッドの傍まで行くと、膨らんだ布団を優しく叩いた。寝ていると思った弟はどうやら起きていたようで、派手な色に染めた髪を布団からのぞかせた。

「……臨也」
「おはよう、シズちゃん」

すっかり伸びてしまった前髪は弟の目をほとんど隠してしまっている。それをかきあげてやりながら、俺は頬や額に口付けた。それを気にすることなく、シズちゃんはぼんやりと僅かに開いたドアの向こうを見ていた。

「母さんたちは……?」
「仕事に行ったよ」
「臨也は何でいるんだ……」
「今日は大学が休講になったから、行かなくていいんだ」
「……ふーん」

興味なさげにこたえるシズちゃんの髪を撫でながら、頭を胸に抱きしめる。すべてされるがままなのは、寝ぼけていてまだ頭がはっきりしないからだろう。
しばらく大人しかったシズちゃんは、俺の服を引っ張ると頭を肩に擦り付けて来た。俺よりも大きな身体が縋るように抱きついてくる。
それが存外可愛くて、俺はひそかに気に入っている。猫のようにすり寄るシズちゃんの重みに耐えきれず、俺はベッドに押し倒されてしまった。シズちゃんの匂いがするベッド。どこよりも落ち着く場所だ。

「臨也ぁ……」

猫のようにすり寄って来るシズちゃんは、俺の服の中へと手を差し込んできた。そしてそのまま、着ていたシャツを胸元までめくり上げられる。曝された肌にある、二つの絆創膏。シズちゃんはそれを見つけると、嬉しそうに微笑んだ。

「ちゃんと、してるんだな」
「だって……シズちゃんが……」

絆創膏の下にはちょうど乳首があった。シズちゃんが大好きで、毎日弄られ続けた乳首。いつしかそれは普段からツンと尖るようになり、こうして絆創膏を貼らなければ服の上からでも分かるようになってしまった。それをべりっと一気に剥がすと、シズちゃんはぺろぺろと舐め始めてしまった。

「ふあ、あぁ……」
「母さんいないんだろ?だったら声、我慢するなよ」

シズちゃんに言われて俺は我慢するのをやめた。出来る限りこの子の要望は叶えてあげたいから。
口から出るいつもと違う声。自分では気持ち悪いと思うこの声を、シズちゃんは好きだと言った。誰も聞いたことがない俺の声を、自分だけが聞けることが嬉しいらしい。そう言われると悪い気はしない。

「でちゃ、出ちゃうよぉ……っ」

乳首ばかり弄られた俺は、今にも射精してしまいそうだった。シズちゃんの服にしがみつきながら、必死にその感覚に耐える。だってまだズボンも下着も着たままだ。このまま出すと汚れてしまうのもあるが、そうなるともっと恥ずかしいことをされるかもしれない。以前下着を精液で汚してしまった時、シズちゃんはその汚れを丹念に舐めとってしまった。本人は特に気にしていない様子だったが、俺は消えたいほど恥ずかしかった。

「や、やぁ……あぁっしずちゃ、だめ、だめぇ……!」

必死の我慢もむなしく、腰を震わせて俺は射精してしまった。先走りとはまた違う感触が下着の中に広がる。俺が射精したのを知ったシズちゃんはズボンを脱がすと、色の変わっている部分を嬉しそうに撫でて来た。

「ドロドロだな……すげー匂い」
「や、やだぁ!」

シズちゃんは下着の上からちんぽを握ると、そのままスンスンとにおいを嗅ぎ始めた。一部分だけ色の変わっているそこは、また反応を示し始めていた。

「嗅がないで……恥ずかしいよぉ」
「……何でだ?」

きょとんとしながらそこを嗅ぎ続けていたシズちゃんを止める手段もなく、俺はされるがままだった。だがすぐに下着も脱がされて、俺はシャツだけの格好になってしまった。

「後ろ慣らすから、俺の顔の上座って」
「ま、またあれ……?」
「……嫌か?」

シズちゃんはずるい。そんな悲しそうな顔で言われたら頷くしかないじゃないか。期待に震える足に何とか力を込めて、寝転ぶシズちゃんの顔を跨いだ。シズちゃんの目は俺のちんぽや、そのさらに向こうを見ていた。

「まだ何もしてないのに、勃起してきたな……」
「い、あぁっあ、んぁ……っ」

完全に座ってしまうとシズちゃんが息できなくなるから、それなりに腰は浮かせておく。するとシズちゃんは袋を舌で突き始めた。射精したばかりでそこも敏感になっているのか、舌が触れるたびに甲高い声が上がる。しばらくそれを繰り返した後、シズちゃんの舌はだんだん尻の方へ這い始めた。支えきれなくなっていた太ももを撫でられ、ついバランスを崩してしまった。鼻息がちんぽに当たって、背筋がびくびくした。
ぐりぐりと舌は固く閉じている穴を刺激し、唾液でふやかしていく。それをされるだけでそこはすぐに解れた。舌が中に入って来る感覚は何とも言えない。

「ん、んぅ……やぁぁっ!シズちゃん、やだよぉっ」
「今日の臨也、やだやだばっかりだな」
「そな、こと……っ」
「可愛いなぁ……もう挿入れようか?」

必死に頷いて、シズちゃんの腰の辺りに移動する。震える手でゴムの伸びたジャージを下着ごとずらして、既に勃起していたちんぽを取り出す。シズちゃんに舐められて濡れた尻の穴は、自分でも自覚するくらいひくついていた。シズちゃんの腹に手をつきながら腰を沈めていけば、ずぷずぷとちんぽが俺の中に入って来る。その光景がたまらなく嬉しくて、俺は何度も出したり入れたりを繰り返していた。
それがどうやらもどかしく感じたらしいシズちゃんは、俺の太ももに手を添えた。そしてにっこり笑って、下へと力を込めた。

「やぁぁぁぁぁぁっ!あ、ひぃっ」

一気に中へ納められたちんぽは前立腺に当たった。なのに俺のちんぽは震えるだけで射精はしなかった。でも射精した時の気持ち良さがずっと続いていた。いつもはほんの一瞬なのに。

「気持ちいいだろ?」
「これ……なぁに……」
「空イキって言うんだ」

嬉しそうに笑うシズちゃんにつられて、俺も笑った。ビクビクと震える俺のちんぽを掴むと、シズちゃんは上下に擦り始めた。気持ち良すぎてどうにかなってしまいそうだ。

「しずちゃ、しずちゃぁ……」
「臨也、臨也ぁ……っ」

シズちゃんはいつも射精しそうになると、俺の名前を呼びながら悲しそうな顔をする。だから安心させるように頬に手を添えて口付けた。少しびくついた舌を捕まえて、吸ったり甘噛みしたり。口の周りがべたべたになってもお互いに離れようとはしなかった。

「ふ、あっあぁっあんっ」

ぐりっとシズちゃんのちんぽが前立腺をまた突いて、俺はやっと射精した。中にも広がる生暖かい感覚。シズちゃんを見れば、気持ちいいのか蕩けきった目をしていた。ぐちゅりと下半身から音が鳴ると、どちらからともなく口付けた。







俺の息が落ち着くまで、シズちゃんは頭を撫で続けていた。その感覚が気持ち良くて、疲労のせいもあって寝てしまいそうになった。それに気付いたシズちゃんは、拗ねたように頬をつついてくる。

「ねぇ……お風呂、入ろっかぁ……」
「ん……でもあともう一回」
「ふふ、いいよ。いっぱいしてあげる……」
「……臨也ぁ」
「うん。好き……俺はシズちゃんのこと、好きだから大丈夫……大丈夫だからね」

すがるようにしがみついて来たシズちゃんの頭を抱き締める。このままじゃいけないと思うのだけど、俺はシズちゃん以上に現状に満足していた。




















引きこもり静雄って字だけで楽しいというか……!
外に静雄を連れ出したい反面、このままずっと自分だけを受け入れればいいと思ってるお兄ちゃん臨也。

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