小説 | ナノ
おはよう、おやすみ、さようなら




サイケのデータを初期化したら、容姿まで幼くなってしまった。
でも外見なんてどうでもよかった。ただサイケが傍にいるなら、あとはどうでもいい。
喋れなくても、手足がなくても。ただサイケという存在があればよかった。
サイケを守るにはどうしてらいいのか考えた。考えて、部屋に閉じ込めることにした。サイケには俺がいればいいのだから、一緒に過ごす部屋だけあればいい。外に出る必要はない。
サイケには白が似合うから、部屋中真っ白にした。

綺麗なサイケ。穢いものなんて知らないサイケ。そんなこの子が一生過ごすには、十分な部屋だった。

「ねぇ、つがる」
「なんだ、サイケ」

元から幼い口調だったが、今は外見も幼い。俺の腰辺りまでしか身長がないサイケは、よく俺の着物の裾を引っ張って来た。引っ張られて、振り向けば目があって、にっこりとほほ笑まれる。
幸せだった。
何気ない会話すべてが愛おしかった。サイケには俺しかいなくて、俺にもサイケしかいなかった。ずっと俺が願い続けていたものだった。今度こそ、俺とサイケの世界ができた。

そう、思ったのに。

「ねぇ、つがる。どうしてここにはサイケとつがるしかいないの?ほかにはだれもいないの?」

掴まれた腕がだらりと垂れる。
サイケが食べたいと言って作ったホットケーキ。蜂蜜をかけている最中で、これでもかとかけてしまった。
いつもと変わらずにっこりと笑うサイケは、どうして?と首を傾げながら俺に聞いた。
幼い目は俺ではなく、他の物を映したいと言っているように感じた。
また駄目だった。俺はただ、冷静にそう思った。

「つがる、どうしたの?」

何も答えない俺に不安に思ったのか、サイケは悲しそうな顔をした。しゃがんで、その小さな体を抱きしめる。無邪気なこの子は、キャッキャッと声を上げて喜んだ。
何がいけないんだろう。何が足らないんだろう。どうして俺以外に興味を持ってしまうのだろう。考えても、答えは出なかった。ただ、この腕に感じる体温に対して、愛しさは完全になくなっていた。

「……昼寝から起きたらサイケの知りたいこと教えてやろうな」
「お、おしえてくれるの?つがる、ありがとう!だいすき!」

俺のこと以外を考えるサイケはいらない。あぁ、またデータを消して、俺だけのサイケにしてやる。この部屋で、俺だけのことを考えるサイケができるまで。何度でも。

「あぁ……俺も好きだよ」



おやすみ、さようなら。
おはよう、俺の愛しいサイケ。



























アンケートより【ヤンデレ津軽×子どもサイケ】でした。
掠ってすらいない内容で申し訳ない。
津軽はサイケが自分以外に興味を持ったり、理想のサイケじゃないと思う度にデータを初期化してます。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -