小説 | ナノ
愚かで愛おしい



弟静雄(高校生)×兄臨也(大学生)







可能な限り音が響かないよう気を付けながら、俺は自宅の鍵を開けた。自分の家なのに堂々と入れないことを面倒に思いながら、同じく音を立てないようドアを閉めた。
脱いだ靴を下駄箱に隠して、足音を立てないように一段ずつ階段を上がる。肩から掛けている鞄が壁に擦れた音にすら、俺は敏感に反応してしまった。階段を上がってすぐの部屋。そこは僅かに開いていて、中からはテレビの音が聞こえた。良かった、俺が帰って来た音に気付いてない。自分の部屋に入れば鍵も閉めれるし安全だ。そう思って俺は急いで自分の部屋に駆け込んだ。ガチャリと鍵をかけて振り返れば、ベッドに横たわり、雑誌を呼んでいる弟の姿。肩にかけていた鞄が床に落ちる。背中には嫌な汗をかき始めた。

「よぉ……帰って来たなら、ただいまくらい言えよな」

にやりと笑った弟はゆっくりと俺に近づいてきた。弟相手にここまで怖がることはないと頭では理解しているが、俺には怖くて仕方がなかった。
俺に伸ばされた手は顔の輪郭をなぞって、そのまま首筋へと滑って行く。子ども体温の手の平は熱くて、冷え切った俺の肌は火傷しそうな気がした。

「ただいま、は?臨也」
「ただい、ま……」
「おかえり……って、んな顔すんなよ。今すぐ犯したくなるだろ」
「っ!」

冗談だと笑う弟の言葉は、俺には本気に聞こえた。俺は、毎晩実の弟であるシズちゃんに抱かれている。抱かれているなんて言い方をしたら同意の上に聞こえるから、犯されていると表現しよう。
そもそもこうなったのは自分のせいだった。俺はシズちゃんのことが好きだ。弟だろうが男同士だろうが、関係なかった。俺のことを兄と慕ってくれる彼が愛しくて、このままずっと一緒にいれたらと願っていた。
それが変わってしまったのは、俺の自慰をしているところをシズちゃんが見てしまってからだ。俺は何度もシズちゃんの名前を呼びながら、性器だけでなく尻の穴まで弄っていた。そんな俺の浅ましい姿を見たシズちゃんは、それまでとは変わってしまった。
優しく俺の名前を呼んでいてくれていた声で、フェラをするように言った。口では嫌だと必死に抵抗しながらも、目の前にしたシズちゃんの性器に今までにないほど興奮した。そして俺は言われるがままに性器を口に含んで、彼が射精するまでしゃぶり続けた。汗の匂いや初めて嗅ぐ自分以外の精液の匂い。
俺はその日、直接性器に触ることなく射精した。その光景をシズちゃんは携帯の写真に収め、今では毎日のようにそれをネタに脅してくる。
シズちゃんは俺がそれを周りにバラされることを恐れて、言う事に従っているように思っているらしいが、別にそんなことどうでもよかった。

「こそこそ帰って来たお仕置きとして一人でヤれよ。ちゃんと録画してやっから」
「……」
「返事は?」
「は、い……」俺に拒否権なんてない。シズちゃんは机の上に置かれたカメラを手に持つと、慣れた手つきで操作した。あの機械音痴が嘘のようだ。
録画が開始された電子音が聞こえたのを確認して、俺はズボンのベルトに手をかけた。シズちゃんの視線はずっと俺を見ていて、それだけで勃起してしまいそうだった。上に着ていたパーカーも脱ぎ、残った下着も焦らすように下ろしていく。
それだけでシズちゃんがゴクリと喉を鳴らすのが聞こえた。それを嬉しく思いながら全部見えるように、カメラに向かって足を開く。すでに少し勃ち上がっているそれからは先走りを流していた。すぐにでもそこを触りたいくらいだが、シズちゃんはそんなこと許さない。
男なのにピンク色をしている乳首を両手で摘まんで、周りの肉ごと揉んでいく。柔らかかった乳首はどんどん硬くなり、指で引っかかるほどになっていた。

「やっと弄る順番覚えたみたいだな」
「ん、んぅ……だって、おっぱい触らないと、シズちゃん怒るじゃん、か……」
「そりゃ手前が言う事聞かないからだろ。おら、誰が床にちんぽ擦り付けろって言ったんだよ」
「ふ、う……わ、悪い子にはお仕置き……」
「そうだよな。今日は何されてぇんだ?ちんぽ縛って一晩中空イキか、それともまたちんぽに何か突っ込んで欲しいか?おれ面白かったよな。しばらくションベンする度に痛い痛いって泣き喚いてよぉ……」
「い、言わないでよ……」

ついこの間のことが嫌でも思い浮かぶ。精液が出てもいないのに身体は気持ち良くて、しかもそれがずっと続くせいで次の日はベッドから立てなくなってしまった。
性器に何か細い棒を入れられたこともあった。最初は痛くて仕方がなかったが、最後には床におしっこを漏らしてしまうほど気持ち良かった。それもしばらくはトイレに行くたびに痛んで夜も眠れなかったが。
正直シズちゃんは性に疎いと勝手に思っていた。だがこう言う関係になって知った。彼はとんでもないことを何故か知っている。パソコンもなければ、携帯もあまり触っていない。一体どこからその知識を仕入れて来るのだろうか。

「……そういや、前に漏らした時は録画してなかったよな」
「ふ、あぁ……そうだった、かな……」
「よし決めた。今すぐここで漏らせ」
「え、あ……ここ?でも、」
「脱いだ自分の服でも下に敷けばいいだろ。いつもは精液飛ばしまくってんだから変わんねぇだろ」
「そう、だけど」

そう言うとシズちゃんはテキパキと用意し始めた。用意と言っても俺の服を適当に重ねるだけで、またすぐにカメラ片手に撮影体勢に戻ってしまった。
無機質なレンズは俺の下半身や顔を、まるで視姦するみたいに映していた。半分くらい勃起してしまった性器を衣服に擦り付けて周りに飛び散らないようにする。手は乳首を触ったまま。
最後に用を足したのは結構前であることを思い出した。腹部に力を込めればすぐにあの何とも言えない感覚がじわじわと頭を満たしていく。自然と息が上がって、腰も揺れ始めた。

「で、出ちゃう……」
「何が出んだよ。カメラ見ながら言ってみろ」
「お……おしっこ、おしっこ漏らしちゃう、出ちゃうの……ひ、いぃ!」

シズちゃんは俺の性器を足で踏むと、そのまま服に押し付け始めた。親指と人差し指で性器をは挟み、擦り上げる。手でされるのとは違う力加減の全くない足の指は、たまに爪が当たって痛かった。
でもその痛みにどこか無意識に我慢していたそれが限界を超えて、ついに俺の性器からは透明に近いあれは出し始めた。ちょろちょろと溢れたそれは止まらなくて、どんどん勢いを増して溢れて来た。

「お漏らし、してる……おしっこ出て、るよぉ」
じわじわと広がって行く服の染みは、だんだんあのどくとくの匂いを発し始めた。それが自分が漏らしたのだと言う事実を確認させられているようで、とんでもなく恥ずかしい。俺の性器の先端を押さえつけていたシズちゃんの足は僅かに濡れて光っていた。

「……足、汚れたな」

ぼそりと呟いたシズちゃんの言葉は、独り言じゃなくて完全に俺への命令だった。足先に顔を寄せれば、シズちゃんは足を少し上げてくれた。少し湿っている指先に口を寄せて、それを丹念に舐めとって行く。口の中に広がる味は決しておいしいものではなかった。

「犬みたいだな。それか奴隷か?」
「ふ、うぅ……ん、んぐ」

もう何を言われているかなんてどうでもよかった。奴隷だなんてちょっと嫌だから俺は犬がいいな。それくらいのことしか思わなかった
。丁寧に舐めとるとシズちゃんは満足したのか、俺の頭を撫でた。それもつかの間。俺はすぐに四つん這いの体勢にさせられて尻の穴をシズちゃんに曝すことになった。

「って、手前射精してるじゃねぇか」
「え……うそ」

自分でも全く気付かなかった。でもそこを見れば確かに粘ついたそれが先端から垂れていた。それに少し怒ったらしいシズちゃんは、勃起した性器を俺の尻の穴に押し付けて来た。

「罰として今日は慣らさずに突っ込んでやるよ」
「や、やだ!せめて指だけでもや、あ、あぁぁぁっ!」

毎日拡げられているそこは多少の痛みがありながらも裂けることはなかった。むしろシズちゃんの性器の形をリアルに感じてしまう。俺のより大きくて太いそれは、より奥を目指してずるずると入って来る。たまにシズちゃんは押し込むだけでなく腰を引いて抜き差しした。

「あ、あぁっんあ、い、いたい、抜いてぇ……!」
「何が抜いてだ。離さねぇのは手前の穴だろうが」

下生えを俺の尻に擦り付けながら、シズちゃんはこれ以上入らないと言うくらい性器を押しこんだ。普通のより大きなそれを咥えこんでいる俺の尻は、少しの刺激にすら感じてしまう。前立腺を突かれるのが一番気持ちいいが、今ではどこを突かれても気持ちいい。
シズちゃんは俺を焦らすように腰を動かしながら尻の肉を掴んで引っ張った。たぶん穴をカメラに撮ってるんだと思う。確かめようと後ろを振り向けば、案の定レンズは俺の穴を撮っていた。

「う、あぁ、お、っきい、よぉ」
「いい加減慣れろよな。俺は二輪押ししてぇんだからよ」
「え、あぁっ!だ、誰か、呼ぶの?」
「んなわけねぇだろ。誰が男の尻に何かちんぽ突っ込むか。手前が一人で楽しむために買ったディルド突っ込むんだよ」

シズちゃんは男の尻にちんぽを突っ込んでいるじゃないかとはあえて言わない。俺がシズちゃんの性器だと見立てて挿入するために買ったディルド。一度も使わずに眠っているそれを、シズちゃんは俺が愛用していたと思っている。俺の中に初めて挿入された指以上に太いのは、シズちゃんの性器だ。汗で蒸れた性器を咥えるのはたまらなく興奮した。

「なんだよ、えらく締め付けやがって。この淫乱」
「あ、あぁっそ、なに揺らさ、ないでぇ……っ」

パンパンと部屋に響く肌のぶつかる音。床には俺の先走りが水たまりを作っていた。腹につくほど勃起した性器。手で思いっきり扱けたら気持ちいいだろうが、俺はもう後ろだけで射精できるようになっている。だからシズちゃんは勝手に性器に触ることを許さない。

「あー……そうだ」

何か思いついたらしいシズちゃんは俺の腰を高く上げさせた。今度は何をするつもり何だろうかとレンズ越しにシズちゃんを見つめていると、シズちゃんは僅かに力んでいる様だった。中で震える性器。射精にしては、いつもと様子が違っていた。


「え、あ……嘘、だよね?そんな、中におしっこ、う、ひゃあぁぁぁぁぁぁっ!」

すぐに抜こうとしたが、がっしりと腰を掴まれていてそれは叶わなかった。シズちゃんの射精はたぶんだが普通の人より長い。その分精液の量も半端ないのだけど、中に出されたのはそんな物の比じゃなかった。
じわじわと広がるおしっこが穴から零れないように必死に締め付ける。それでも大量に出されたそれは中に納まりきれなくて、太ももを伝っていた。

「おら、漏れてんぞ」
「う、ひ、あぁっ!」

パンっと高い音が鳴ったかと思うとシズちゃんは俺の尻を叩いていた。無意識に穴に力がこもる。太ももを流れていたそれは少し治まったように見えた。自分の腹を見ればわずかに膨れているようにすら見える。まるで腸内洗浄をしているみたいな感覚だった。

「せっかくだから何かカメラに何か言えよ」
「な、にって……あ、ひぃ!言うから、お尻、叩くのやめてぇっ」

俺が黙っているとシズちゃんはもう一度尻を強くたたいた。今度のそれは穴を締めるとかそういうのではなくて、ただ単に腹が立ったからだろう。力加減は一切なくて、おそらく叩かれたところは赤く腫れているだろうに。

「あ、気持ちいい、気持ちいいから、だめ」
「何されて気持ちいいんだよ」
「おしっこ、お尻におしっこされて気持ちぃ、」
「手前は今誰に犯されてんだよ?なぁ、このちんぽは誰のだ?」
「し、シズちゃんに……弟に俺は犯されてるの、もう、出したいよぉ……!」
「……ちっ」

激しくなる律動。抜き差しするたびに、当然中からおしっこが辺りに飛び散った。床を見れば水しぶきがいっぱいだ。まるで女みたいに濡れたそこはシズちゃんの性器を離したくなくて、必死に絡みついていた。その締め付けに耐えきれなくなったのか、シズちゃんは眉を寄せてもう一度俺の尻を叩いた。

「う、あぁっ!」
「……っく、今日はかけてやるよ」

シズちゃんは素早く中から性器を引き抜くと、俺の背中に向かって先端を向けた。すぐに凄い量の精液が飛び出してきた。粘ついたそれは俺の背中や尻、とにかくたくさん射精した。
同じように俺も射精する。もちろん量は少なくて、申し訳程度に床を汚すだけだった。その瞬間、穴に込めていた力は一気に抜けてしまった。
「う、うあ……!やだ、見ないで、あ、」
「はは、すっげ……潮噴いてるみてぇ」

栓を失ったそこは中身をこぼすしかなくて、中に出されたおしっこはほとんど床に広がっていた。びしゃびしゃという音を聞きたくなくて耳を塞ぐが、尻を伝う感触はどうしようもなかった。

「……床に零れたの、舐めろよ」

当然の様にシズちゃんは言い放った。器用にカメラは俺に向けながら、もう片方の手で自分の性器を扱いて残った精液を俺にかけて来る。射精後の疲労感に耐えながら、俺は這いつくばる。

「は……あぁ……」

鼻を寄せれば独特のツンとしたにおい。でもこれはさっきみたいに俺の出したものじゃなくてシズちゃんが出したものだ。できれば直接口に出されたかったと思いながら、俺は水たまりに舌を付ける。その姿をずっと撮影しているシズちゃんは、また勃起させていた。こんなこと、普通の人はしたがらないと彼は知っているのだろうか。

「これ、誰にもバラされたくないだろ?だったら……」
「……分かってる。言う事、ちゃんと聞くよ……」
「……へぇ」

安心したように笑ったシズちゃんは俺の身体を押し倒した。尻の下には水たまり。冷たくて鳥肌が立った。
俺が嫌々言う事を聞いているように思って、優越感に浸る弟は酷く愚かで愛しい。俺が彼に抱かれているではなく犯されていると表現するのは、ただ単にそっちの表現の方が興奮するからだ。
こうやってこそこそと帰宅してお仕置きされるように仕向けるのも、すべては弟が俺だけを見るようにするため。今、こうして彼は俺しか見ていない。女を知ることもなく、他の人間に興味を持つこともなく。ただ兄である俺だけを。

「次は何してやろうか……なぁ、臨也」

ほら、弟の頭の中は、俺でいっぱいだ。


















スカが大好きなのさ。
ついったよりネタ提供ありがとうございました!

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