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×印は3つが限界・前






立て込んでいた仕事が終わり、明日は一日中寝て過ごそうと考えていた矢先。足元に見慣れた道路標識が突き刺さった。

嫌と言うほど体験した展開に標識が飛んできた方向を見れば、片手に買い物袋の如くコンビニのゴミ箱を持ったシズちゃんが立っていた。

「や、やぁシズちゃん。君に会うのは何日ぶりかな」

今回は彼に嫌がらせをしている暇がないくらい忙しかった。池袋に来たのも一週間ぶりじゃないだろうか。

「そうだな……もう10日くらいか」

この男は俺が池袋に来なかった日をわざわざ数えているらしい。本人が前にそう言っていた。カレンダーに×印をつける姿は、想像してなかなか気持ち悪かった。

「手前殴らねぇとイライラすんだよ」

俺が池袋に来るのが気に入らないから殴る。以前はそう言っていたのに色々と順番が逆になっている。というかそれはただのストレス発散だ。

「やだなぁ。俺はシズちゃんいなくて快適な日々だったよ?今みたいに標識飛んでこないし」

持っていたゴミ箱を投げつけられる。寸前でなんとか避け、そのまま逃げようとしたがいつものように走れない。寝不足なのはやはり大きいようだ。しばらく逃げれてはいたが、すぐに追い付かれてしまった。

「逃げんじゃねぇよ」

「いや、普通に考えて逃げるから」

少し走っただけなのに息が上がった。シズちゃんは俺を引きずりながら一件のビルに入っていく。掴まれた手首が痛い。試しにシズちゃんの手を刺してみたが、全く効果はなかった。

結局屋上に連れて行かれ、コンクリートの地面に投げ飛ばされる。受け身は一応とったが痛いことに変わりはない。階段へ続くドアは変形して、簡単には開けられなくなった。

シズちゃんは無言で近付いてくると俺を端まで連れていく。腰より少し高いだけの柵。その向こうは何もない、遠い地面にはたくさんの人間が歩いていた。
「……シズちゃん、俺転落死とか」

言葉の続きは出なかった。シズちゃんはいきなり俺の胸ぐらを掴むと、シャツを左右に引っ張った。シャツはまるで紙のように簡単に破けた。

唖然としてる俺を横目に破れた布切れで、俺の手を片方ずつ柵に縛ってしまう。ちょうど柵を掴んでいる状態だ。
少し身を乗り出せば下を歩く人間が嫌でも見えた。

「えーっと……人の服に何してくれてるのかな」
「シャツくらい他にもあんだろ」
「そういう問題じゃないよ」

肌寒さに身を震わしていると、今度はズボンを下ろされた。ここまで来たら、いくらなんでもおかしい。反論しようと後ろを振り返れば、これでもかとにやけた顔。

「……っお前!」
「殴ったのは10日前だけどよ、ヤったのは2週間前だろ?」













長いから分けます。

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