小説 | ナノ
世界で一番強い女の子


とてもマニアック。






手に持っているコンビニ袋にはプリンがひとつ入っている。当然そこまで重くないはずなのに、俺の足取りはとてつもなく重かった。

古びた階段を上がると、そこにはこれまた古そうなドアが数枚並んでいる。それの端から3つ目のドアの前に立ち、この前渡された合い鍵でドアを開けた。玄関には乱暴に脱ぎ散らかされた靴があった。自分の分とその靴をきれいに並べて、大して距離のない廊下を進む。
寝室を覗くと奴はいた。ベッドに寝転びながら雑誌を読んでいたシズちゃんは、俺の姿を確認するとよおと素っ気ない返事を返した。

シズちゃんが熱心に読んでいるのは、本来女の子が読むようなファッション雑誌だ。男物も特集されているかもしれないが、内容は完全に女性向け。そんな雑誌をシズちゃんは愛読している。
それだけでも十分俺の頭を痛めているが、問題はそれ以外にもあった。

シズちゃんは今、セーラー服を着ていた。上下紺色で襟には白のラインが入り、胸元には可愛らしい赤色のリボンがあしらわれている。短めのスカートからのぞく足には白いハイソックス。
起き上がったシズちゃんは胡坐をかきながら、伸びを一つした。
初めて彼のそんな姿を見たときの衝撃は忘れられない。お互いに両想いだと気付いて、その気持ちを伝えあって。
シズちゃんの家に初めて招かれて訪れた時、彼は今のような格好で俺を出迎えた。告白した時、彼は人には見えない秘密があると言った。人間離れした力だけでも人には言えないだろうと思ったが、俺はどんなシズちゃんでも愛せると返した。
その時の彼の嬉しそうな顔もある意味忘れられない。

この趣味というか性癖は幼い頃かららしい。普通とはあまりにも違いすぎる自分。ずっと弱くなりたいと思い続けていた彼の目に留まったのは、小さな虫にも怯える女の子だった。
か弱くて、誰かが守らなければいけない存在。そうシズちゃんの中では認識されていた。

それがこの結果だ。自分も女の子の格好をすれば、同じように弱くなった気分になるとシズちゃんは言った。ビジュアル的には人が殺せそうな気さえする。
流石にこれで外を出歩くことはないらしいが、部屋ではいつもこんな感じらしい。もしかすると甘いものが好きだと言うのも、女の子への憧れからなのだろうか。

「んなとこ突っ立ってねぇでこっち来いよ」
「あぁ……うん」

プリンを冷蔵庫にしまって、シズちゃんに近寄るとそのまま抱きしめられる。
格好はこんなだが、することは男と変わらない。抱きしめる力も完全に女ではない。どうも格好だけで満足するらしいシズちゃんは、それ以外何もしない。ウィッグを着けるわけでもなく、靴下から見えている脛毛も剃ろうとはしない。
それがまた中途半端で怖いんだ。やるなら本格的にして欲しい。まだ華奢な方でスタイルもいいんだから少しはマシだとは思うのだけど。
たまには男の格好をしているシズちゃんとシたいと思いながら、俺は目を閉じる。
それがキスをねだっているように見えたらしいシズちゃんは、頬に手を添えて口付けて来た。
目を閉じているせいで、舌の感触や水音を敏感に感じてしまう。そのままコートを脱がされる。
息苦しさに思わず目を開けると、そこにはセーラー服を着て俺の服を脱がそうとしているシズちゃんの姿。紺色のスカートはちょうど股間の部分が膨らんでいた。

とても複雑な気分になりながらも、俺に欲情しているシズちゃんに悪い気はしない。
乳首を吸われたり舐められたり。一切脱いでいないシズちゃんに対して、俺はもうほとんど裸だ。唯一身に着けていた先走りで濡れた下着も脱がされる。まるで女に犯されているようにも思えるこの状況に、俺は少なからず興奮していた。

「ひ、あ、うあぁ……ん」

ひんやりとした手で乳首をひたすらに弄られる。そのまま舐めていた舌は腹へと移動し、へその周りを丹念に舐め始めた。
めくれ上がったシズちゃんのスカートからはトランクスが見えた。シズちゃんは女装するくせに、その下に身につける下着には全くの無関心だ。

高校の時母親が買ったのを、未だに穿いていると聞いたときは思わずぞっとした。元は黒色だったらしいそれは、灰色にまで色が落ちている。
これはまずいと思った俺はすぐさまそれなりの値段のする下着をプレゼントしたのだが、なかなか穿いてはくれない。せっかく買ったそれは開けられずにどこかで眠っているのだろう。

「ふ、あん……も、そこ、やだぁ……!」

下へと下がって行く舌は、俺の性器を一舐めすると離れて行った。いつもはそのまま口に含んでくれるのに、今日はそういう気分ではないのだろうか。
ぼんやりとする頭でシズちゃんを見ていると、先走りで濡れていた性器を握られて上下に擦られる。それと同時に後ろの方にも手が伸びた。
シズちゃんがしやすいように自分で太ももを持って足を開くと、周りを撫でていただけの指はゆっくりと中へと入ってきた。
広げるように中を擦りながら、シズちゃんの長い指は奥の気持ちいところを、焦らしながら触れて来た。

「もうっ……せ、かく、あげたの、に……っ」
「あぁ?何がだよ」
「下着だ、よぉ……!なのに、ひ、あぁっ」
「……だってよ、手前がくれたのきついって言うか締め付けられるから嫌いなんだよ」

ボクサーパンツだから当たり前だろうと思った。シズちゃんはスカートをめくると、下着をずらして既に勃ち上がっている性器を取り出した。それを数回擦ると慣らされたそこへと挿入していく。
感じる圧迫感をどうにか逃がそうとシーツを必死に握りしめていると、シズちゃんに手を重ねられた。することはこんなにもかっこいいのに、胸元のリボンが目に入ってしまった。
こんなプレイ、アブノーマルなAVでも見れないだろうに。

「う、ひぃっおっきぃの、入って……っ」

ぴったりとくっついた下半身はシズちゃんのスカートによって隠されている。
見えないそこからはずぽずぽと音がして、自分の性器もスカートに擦られていた。粗い布地はいつも穿いている下着や、手でされる感覚とはまた違う。擦り付けるように腰を揺らすと、シズちゃんは舌舐めずりした。

「ひ、あっシズちゃぁ……あ、ひぃ!きもち、いいよぉっ」
「あー……動くとき邪魔だな」

それいつも言ってるだろう。スカートを控えめに持ちあげると、シズちゃんは腰の動きを早くした。射精する寸前、シズちゃんはスカートを離した。
重力に従ってまた下半身を覆ったスカートを見て、シズちゃんは口元を歪めた。そしてスカート越しに、俺の性器を擦りあげた。

「い、あ、あぁっう……あ、あぁぁぁ!」

性器に対する直接に刺激で俺は射精してしまった。すぐに中にも温かい感触が広がって、シズちゃんは少し眉を寄せていた。
スカートをめくると、裏側はべっとりと俺の出した精液で汚れていた。犯されているのに、まるで俺が女の子を犯したような気になった。もちろん目の前にいるのはシズちゃんであって、か弱い女の子ではない。

本当は女装なんてやめて欲しいのだけど、俺はもうこの姿のシズちゃんに慣れてしまっていた。


















女装癖なシズちゃん×臨也!
ネタ提供ありがとうございますはあはあ


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