―まだ試衛館にいた頃、そう17歳くらいの頃だろうか。 庭で掃き掃除をしていたら門の側で近藤さんと誰かが話している声が聞こえた。 掃き掃除をしながら相手は誰だろうと僕はちらりと横目で見た。 ―その時はただ、ちょっと気になっただけだったのだ。 どくん、と。初めてあの人を見た時、何かが全身を駆け抜けた。 (………なんて、綺麗な紅色の髪と黄金色の瞳。) 年齢は自分と然程変わらなさそうなのに、体格も身長も良くて、高くて。 風が吹きサラリと紅色の髪を揺らす。 そして僕の視線に気付いたのかその人が此方を見やる。 「……っ」 一瞬空気が止まった、ような気さえした。 (本当………綺麗な瞳。) 足がまるで地に張り付いてしまったかの様に。 視線も全身も……何故か僕は動けなくなってしまった。―心の中で何かが弾けて沸き上がるのを感じた。 *** ―試衛館に初めて訪れた時。 近藤さんと出入口近くの門で挨拶も兼ねて少し話していると、突き刺さるような視線を感じた。 視線の方へ俺は目を向ける。 栗色の癖っ毛のある髪を結わいて、風に靡かせていた。 ―…翡翠色の目をまんまると見開きながら。 お互いしばしの間動けずにいたが、向こうがハッと我に返ったのかいきなり背を向けて掃き掃除を再開し始めた。 「…………」 「……、あの……アイツって」 「ん?ああ、総司の事か?」 「総司?」 「総司と言ってな。九歳の時に此処に預けられて内弟子として剣を学んでいる。血の繋がりはないが俺にとって可愛い弟のようなものだよ」 「…………」 (………そう、じ) 「立ち話もなんだから中に入らないかね?少し肌寒くなってきたしな」 「ああ、は、い…」 ガラガラと玄関の引き戸を開けて道場に入る。背中に突き刺さる視線を感じながら。 *** まずは序章。文章久々に打ったので訳わかめ状態や……リハビリリハビリ…。 1から始めたかったんですけど短すぎたので。原沖長編?ですが、沖田さんと土方さんの絡みなのも多分出てきます。気長にお付き合い下さいませー^^ 2013 8.29 |