咲き乱る想い ※風間視点(現在→過去編) ちょっとゲーム本編構造。 生徒会室。 外から見える校門には新入生であろう真新しい制服を身に纏った生徒達が大勢見える。 肘をついてその光景を眺めながらふと遙か遠い昔の事を思い出す。 栗色の柔らかい髪に、引き込まれそうな透明感のある翡翠色の瞳。 いつになったら逢えるのだろうか。 …今思えば心を捕らわれたのはあの頃から、だと思う。 (まさか…ここまで固執しているとはな) ふう…と少しだけ溜め息を洩らし、ゆっくりと瞳を閉じる。 ――― 元治元年6月5日亥の刻、京都池田屋。 後に池田屋事件と呼ばれるもの。 その日はうだる様な蒸し暑い夜だった。 「ぐ……う…ぁっ」 口からボタボタッと血が滴り落ちる。 刀を突き立てて此方を睨む様が何故か気分を昂らせた。 「ふん、その身体で何が出来るというのだ。…さっさと諦めるのだな」 「……っ、僕はまだ、やれる…!」 翡翠の目が此方を見据えながら少し体勢を崩す。 (……戯れ言を。) そう思う反面綺麗な瞳をしている、と思っている自分に驚く。 最初はただ"興味"だった。 だから…ほんの少しだけ、触れてみたいと思った。 一気に間合いを詰め、突いていた刀を蹴り飛ばす。 刀で支えていた体勢を飛ばされた事により一気に崩したが、すぐさま肩を支える。 「……っな」 一瞬の出来事に男は怪我や今のせいもあり身動き出来ずに目を見開いている。 間近で見るその顔。 女の様に綺麗な顔立ちをしていて不思議なのだが男だというのに不快感がない。 肩で押さえてない方の手でそっと髪を滑らせ頬に添える。 ビクッと男は肩を揺らしたが構わず行為を続ける。 「お前、何す……」 「貴様なかなか綺麗な瞳をしている。」 「……は?」 …一体この男は何を言ってるのだろうか。 「せっかくだから名を覚えておいてやる。名を、教えろ」 「……!?」 その言葉に男は呆然した表情のまま抵抗するのを忘れてしまっている様だ。 「なっ…何で、お前……なんかに…っ」 そう言い放ち抵抗するが、ぐ……と肩に力を込めればう…と小さい声が洩れ、しぶしぶといった表情でその男は答える。 「……お、沖田…総、司」 「沖田、総司だな」 すると下の方の階からバタバタッと階段を走る音が聞こえ、同時に 「……っ沖田さん…!!」 と叫びながら此方に向かってくる。黒髪を上に一括りした少女らしき姿。 (……あやつは。) ――面白い。 風間はスッと手を離したかと思えば身を翻し。 沖田はしばし呆然としていたが、窓から飛び降りる際ハッと我に返った沖田が「待て…!」 と叫ぶが既に遅く。 「近いうちに会えるやもしれぬな、またな……沖田総司」 そう言い放った風間はその場を離れる。 はあはあと呼吸が定まらない中、沖田は障子窓から見える空を見上げた。 炯々と輝き京の街を照らしていた月がいつの間にか西へと傾き、あと数刻で夜が明けようとしていた。 *** 相変わらず短い駄文ですが(笑) だらだらと続いていく予定(´∀`) 次回から暫く過去編で進みます^^ 書くペースは一週間に1、2回ですが、両視点とも書けれるように頑張ります。 2012.1/22. |