あの後。
名前だけでは信じられなかったが、姿を見て驚愕した。

栗色の髪に…そして翡翠のあの瞳。

あの頃よりも少し背が低めで細めではあったが、あの時と何一つ変わらない"沖田総司"そのものだった。

……が、ただ一つ。
記憶は一切持ち合わせていなかった。


(普通は覚えてるヤツの方が珍しいんだ、覚えてないのは当然じゃないか)

そう、思うのに。


やっと逢えたという喜びと、一切覚えていない寂しさの両極端な想いがぐるぐると渦巻く。
心の奥底で何ともいえない感情がミシリ、と小さく響いたように感じた。


出席。
一人一人名前を呼んでいくが一つだけ空いた席にふと目がいく。


―またか。

はあ、と溜め息を吐く。


***


休憩時間。

自分の担当するクラスの授業は次は午後からなのでまだ時間はある。

何処に居るのだろうとあちこち探し回ってみれば、目的の人物は屋上でごろりと仰向けに寝っ転がって昼寝をしていた。


(ここに居やがったか……)

入学してからまだ2、3ヶ月程経ったが、毎日授業は必ずと言っていいくらい2時間程はサボり居なくなる事がしょっちゅうだった。

サラサラと髪が揺れる。
眠っているその姿に声を掛けるのを止め、まじまじと見入ってしまった。

鼻筋が通り長い睫毛。

そして細い、首。


あの頃の総司と姿をダブらせる。

「………何、見てるんですか」

気配を感じたのか、呟きながらフッと閉じていた瞼を開け此方を見やる。


「何ってな……お前、また授業サボってるから探しに来たんだよ」

「へーえ」

「へーえ、て沖田な……他教科の小テストやら大事なプリントとか。他の教師から預かってるから放課後俺んとこ来いよ」


「ええええー」

「えーじゃねえよ…いいか、ちゃんと来いよ」

「はあ………分かりましたよ」

「とりあえず次の授業から出ろ、じゃないと夏は確実に赤点で補習だからな」

「む………」

「沖田行くぞ………ほら」

と、スッと手を差し出す。

「…………」

その行動に一瞬目を丸くし沖田はまじまじとその手を見つめながら。

「え、何……ですか」

「何って…次の授業出ろって今言ったばかりだろ、行くぞ」


「ああ、そうでしたね」

少しだけ動揺したその瞳に原田は気付かず。

差し出された原田の手。
沖田がその手を握り原田はそのままグイッと引っ張り立ち上がらせる。

近づく距離。

―……どくん。

「………っ」

心臓が高鳴る。

(―駄目だ、………駄目なんだ。)


愛しい存在だがあの時代(とき)とは状況が違うんだ、仮にも教師と生徒。

間違いなど犯してはならない。

―耐えろ。


コイツに記憶がもし断片的でも残っていたならば何ともいえないこの感情も拭いされたのだろうか。


愛しい。それだけは確かな筈なのに。
それに加え薄暗い感情が渦巻き始め、それがじわじわと身体全体を侵蝕していく感覚に陥っていくのを感じた。



―何故薄暗い感情も付きまとっているのか自分でも分からない程に。




***


大分グダグダでスミマセンって感じですが……!!!

いくら書いても上達しないなー…(´ε`)ちっちゃい頃から文系人間ですが、作文だけは苦手です。

美術と古典だけかなあ………漢文とか見ると訳するの大好き人間でした。
書き下し文楽しいよね、ワクワクするよね!あれ…私だけ?(笑)

話が逸れたけれど………だんだんと左之さんが変わって来てるように読んで……見えましたか、ね??

何せ文章下手くそなんで…そわそわ←


次、ぬるい裏含みつつの後編になります。

2012.4/23

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