―執着してるというのも可笑しい話かもしれないが。 ずっと、ずっと江戸(あの頃)から想ってる相手がいた。 ……違うか、正確には想い合っていた。 現代(ここ)で絶対に逢えるという確証はない、もしかしたら性別は違うかもしれないし国籍だって違うかもしれない。 …生を受けていないかもしれない。 だけど……もう、随分と待ったんだ。 そろそろ巡り逢えてもいい頃じゃないか。 (―じゃないと、そろそろ―) 「……らしくねぇな」 ―こんな風に考えてしまうのは桜の咲く季節だからかもしれない。 だから余計に逢いたい想いが溢れ出してしまうのだ。 *** 「左之さん、ねえ……もしも、さ」 「何だ?、総司」 医師松本良順が手配した千駄ヶ谷の植木屋の奧にひっそり佇んでいる建物。 其処で沖田総司は療養の為に身を置いていた。 「生まれ変わり……て信じる?」 沖田は返答を待つわけでもなく庭に目を向けながらぽつりと呟いた。 「………総司」 「左之さんもし……生まれ変わる事が出来たなら。 その時は僕の事を見つけてくれたら、嬉しいな…なんてね、冗談……」 「約束するよ」 「……え?」 「俺がもし来世に生をうけたなら。 記憶あっても…なくても、絶対にお前を見つけ出してやるから」 「左之……さん」 「……うん、自分がもし生まれ変われたなら。其処で僕…左之さんの事待ってるから。」 *** ―約束を果たすために。 (さて……と) 背を預けてた姿勢を直し、デスクに片肘を付いて手を頬に添えながらぼんやりと入学生名簿を眺める。 原田は1年の担任の担当をする事になっている。 せめて自分のクラスの生徒の名前と顔くらいは覚えなくてはいけない。 ずらりと並んだ名前を口に出しながら左上から下へ。 そして右上に目線を移し下へ…… ……と、とある場所で目が止まった。 (いや……まさかそんな訳…。でも、もしかしたら―) 嫌というほどに、身に覚えのありすぎる名前。 愛しく、そして大切な存在。 「沖田………総司」 (でもまさか、な……) *** 変なトコで終わらせてしまった。 短めです。 そしてこの文だけ見たら普通の転生→現代(SSL)の切甘系みたいなお話かな? て思うでしょうが。 タイトルみればあああ……て想像つくと思うんですけどね。 すんません中編からだんだんと暗めなお話になります← (しかも後編は無理矢理系) あ、無理矢理系とかいっても温い裏っぽい微妙なものなので大したモンでもないです(何の説明) 2012.4/4 |