※ストーブによって暖められた室内。 ベランダの窓を見るとまだ雪が降っていて、止む気配がない。この分だと明日辺りは少ないながらも積もりそうだ。 ―勉強会を始めて30分過ぎ頃。 あれから自分が左之さんの事をいつも以上に意識してしまって、どこか左之さんに対してぎこちない。 せっかく問題について説明してくれているのに右から左へと流れていくばかりで頭に殆ど入っていかない。 「―…でここの式はこうなって……」 聞いてるふりをしながら、ちらりと左之さんを盗み見る。 左之さんのゴツゴツしながらもすらりと伸びた長い指。 伏せた目から見える琥珀色の瞳。 時々髪をかき上げる仕草。 一つ一つが僕の中の心を跳ねさせる。 僕には幼い頃に両親を亡くしてしまい、今現在に至るまで姉さんと二人暮らしだ。そんな姉さんは出掛けてて今日丸一日は帰って来ない。 ……つまり僕と左之さん以外誰もいない。二人っきり、という状態だ。 (―どうしよう。) 平常心平常心…勉強に集中しなくちゃ。 ―そわそわしている。 そんな僕が当然左之さんの視線に気付く訳もなくて。 「……なあ、総司」 不意に名前を呼ばれ心臓がどくんと高鳴る。焦る動揺を隠していつも通りの声色で答える。 「…はい。何ですか?」 「お前ちゃんと聞いてたか?」 「……聞いてました」 「嘘つけ、今の間は何だ。 さっきから手が動いてないぞ。……一応勉強教えてるんだからな、ちゃんと聞いとけ」 コツン、と軽く頭を小突かれる。 …ん………一応? 左之さんの言った言葉にちょっとした疑問を覚えて。 「今、一応…って言いました?」 「…ああ。だってお前の頭だったらさほど問題ないだろ。 付き合い長いんだから勉強出来るか出来ないかくらいは分かる。 これでも来年の春からは高校で教師として働く身だぞ?」 「じゃあ、何で……」 勉強見てやるって言ってくれたんですか、と言うと左之さんは途端に持っていたシャープペンを置いて頬に手を添えながら肘をついて軽く溜め息を付く。 「お前なあ……それ聞くか…。」 左之さんは困ったように苦笑いをする。 「これでもなやっとの踏ん切りをつけて総司の家に来たんだぞ。 ……お前だって同じじゃないのか、さっきから上の空だし。 さっきも手が当たっただけであんな動揺しちまって」 「……っ!?」 カッと頬が熱くなるのを感じた。 上手く隠してたつもりだったのに、左之さんにはバレていたという事か。 ていうか……今左之さん何て言った? 今の言い方じゃあまるで― 「どういう……意味ですか。 ちゃんと言ってくれないと…分かりません」 ―嘘だ、そんな訳がない。 そう思う反面どこか期待してる自分が居る。 「……ただの口実だよ。ただお前と一緒に居たいだけのな」 「…え」 「総司、お前も口実が欲しくて勉強で分かんない所があるとか言ったんじゃないのか?」 「違うのか?」 「………別に、」 違わなくないですけど…と、もごもごと声が小さくなりながら言いつつ左之さんの様子を見ると、僕の事を優しい目で微笑んでいて自分の心臓がバクバクと五月蝿く鳴り響く。 「今日、みつ姉さんは出掛けてるのか?」 「え…あ、はい今日丸一日帰って来ないです、けど」 「……そうか、て事は二人きり…だな」 「……っ」 改めて言われる事実に益々左之さんを意識してしまう。 「来年の春からは教師として働くっていうのに……これから生徒の間柄になるっていうのに、ずっと言うか言わないか迷ってたんだよ」 何かを決心した様に肘をつくのを止めて。 「総司」 「え、あ……はい」 優しく微笑んでた左之さんは真剣な眼差しに変わり、これから何を言われるのか薄々と予想させた。 「ずっと幼なじみとしてだったけど、これからは恋人として一緒に居てくれないか」 告げたその言葉は心に染み渡っていく。 「……左之さん…僕はまだまだ子供だし、ましてや男、だけど…でも」 ―僕も、好きです。 と、告げた瞬間左之さんは凄く嬉しそうで。 今のせいで熱く感じるだけの顔は更に熱くなって、きっとゆでダコのように真っ赤に違いない。 あの時左之さんが動揺してるように見えたのは気のせいじゃなかった。 僕と同じ気持ちでいてくれたからなんだ。 「なあ…早いけどそろそろ勉強、止めるか」 「……そうですね」 確かにこんな状態じゃ互いに到底身が入りそうにない。 すると、左之さんが立ち上がり僕の隣に座ってぎゅっと手を握ってきて。 左之さんの顔が近づいてごく自然に瞼を下ろす。 互いの唇が合わさって降り止まないキス。 そんな中、そういえば買って来てくれたデザートは一体いつ食べることになるのだろうと頭の中でぼんやりと考えていた。 *** ぐだぐだな感じが…(´∀`)あー。 文章考えるの難しいですねー上手くなりたいです。 変な所で終わりましたが、まだ中三なのでキスより先の事はしてないと思います、よ。理性が保てれば。 番外編的なものを書ければいいな、と思います^^ 2012.2/12 (2/13.ちょっと書き加えました) . |