散らない桜
(永倉新八さん)
もうすぐ春だネー。
そう言って笑ったのは、私の恋人である新ちゃん。
見上げるのは、校庭の隅に一列に並んだ桜の樹の先。
紅色の、桜の蕾。
「新ちゃん、新ちゃん。」
「ん、なぁに?」
「春はさ、終わりと始まりの季節だよね。」
「うん、そうだネ。」
「私達、もうすぐ三年生だよ。」
「うんうん、それでどうしたノ?」
二人繋いだ手を離さずに、樹を見上げたまま言葉のキャッチボール。
他人から見たらまるで噛み合っていない様だけど、それでも私と新ちゃんの間にはちゃんとした繋がる言葉の波長。
その幸せな時を噛み締める。
「来年は同じクラスになれるとイイね」
そう言って、私は新ちゃんの方を向いた。新ちゃんも、ほぼ同時に私を見る。
「同じクラスでも違うクラスでも、なまえは新ちゃんのトコに通うけど……。まぁ、なにはともあれ、来年度もよろしく、新ちゃん。」
微笑みかけてそう言えば、新ちゃんもよろしくと言って笑った。
散らない桜(来年度だけじゃなくて、ずーっとずーっと、よろしくね)
NEXT→坂田銀時
[ 1/23 ][*prev] [next#]
[back]