残されし恋の脱け殻は(に)


その後、祭会場の出入り口で落ち合った神楽は、何の情報も掴めなかったと嘆いた。キケンだと定春が感じたらしい。
要するに、前回の高杉の件と完全一致している訳だ。

では、また真選組が助けているのか。答えは否だ。けれど、ここにいても埒が開かないと判断した俺達は帰路についた。


「家に帰って、何か打開策がある訳じゃないんだけどな」

ついそんな言葉を溢した俺に、永倉が眉をひそめる。わかってるよそんなコト、とぶっきらぼうに言った永倉はふらりと歩き出した。

トボトボという効果音がぴったりな永倉に、神楽が励ますように声をかける。次いで定春が一声あげて、永倉はそんな二人に緩く笑って謝罪を口にした。
そんな背中を見ながら、俺は進めるべき足を止めたまま溜め息を吐いた。
本当だったら、この場所に小百合がいた筈なのに。


「来なきゃよかったんだ…祭なんか」

思わずそんな事を溢した時、黒猫が足元に擦り寄ってきた。見ていれば、俺を見上げた目が金色に光る。
綺麗な色だなんて馬鹿げた事を思い顔をあげれば、神楽が振り向いて銀ちゃんと呼んだのが、口の動きで取ってみれた。


「…絶対に小百合を取り戻す。お前の思い通りにはさせねぇぞ、鈴」


足元の猫に目線をやらず言い聞かせるように言えば、そいつはもう一度鳴いてみせた。
まるで「望む所だ」とでも言うかのように。



To be continued.

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