幾重もの戸を開けて(に)




「っつー事で、急いで真選組の奴らン所に行ってくる」

物音に肝を冷やしていたという新八に玄関前で起きた出来事をあらかた説明した俺は、廊下へと続く引き戸を開けた。


「新八、お前の下駄借りてくぞ」

「え?」

「よく考えたら、あの状態で行く訳にゃいかねぇだろうが」


くいっと永倉を首で指す。裸足とは言わないが、足袋はあれども履く物なんかはない。
新八はそれに納得し、わかりましたと頷いた。



「じゃあ、僕は残ってもう一度真選組に電話します。」

「銀ちゃん、私は定春と一緒に小百合探すヨ! もしかしたらアイツら、まだ屯所に戻ってないかもしれないアル」


フン!と鼻息荒く言った神楽に、まかせたと肩を叩く。どこか心配そうな永倉の背を押して、俺は部屋を出た。

後ろから神楽と定春が俺達を追う。


「こんな小さな女の子に行かせて大丈夫なノ?」

「ちっさいとか、お前に言われなくないアル。少なくとも私は、その辺の地球人なんかには負けないヨ!」

「そーいうこった。心配すんなよ、永倉」


ブーツに足を突っ込んで、その隣にあった新八の下駄を永倉の方に差し出す。
履いたのを確認し、ガラっと戸を開けて俺は外へ歩み出した。



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