謹賀新年

02


「兄貴なんかより、彼女誘いなさい。ンだけ顔がいーんだから、勿体無いぞ?」
「…女より和兄がいいんだよ」
「はは、光栄だ。でも俺、ひと込みに年始からぎゅーぎゅーやられんの、やぁだ」

 ぺろりと赤い舌を出して見せる和久。
 かちん、と薫の中でスイッチの入る音がした。




 部屋に篭った和久を訪れる。平時から深夜2時くらいまでは眠らない兄だ。ノックするとすぐに招き入れられた。

「どーした?」
「和兄にいいものあげようと思って。ね、後ろ向いて手ぇ出して」
「…普通目ぇ瞑るだけだろ」

 言いながらも律儀にちゃんと従う和久。
 用意してきた黒いテープを、素早くそこに巻いた。

「?! なにこれ、手品?」
「ボンテージテープって言うんだよ。粘着力じゃなくて、静電気の力で拘束するスグレモノ」
「いやうん、それは判ったし確かに取れないけど。何すんの? なんかくれんじゃなかったの?」
「あげるよ? あげるけど、そうせっつかないでよ」

 後ろから腰を寄せるようにして抱きつき、腕が自由にならない和久の躯を、両手で撫で回す。
 腹の辺りから始めて、胸、腿。服の上から乳首を探り、股間で睾丸の形をなぞる。

「ぎゃー! な、何してんだ薫っ!」

 クリクリと人差指と親指で刺激してやると、びくびくと和久の肩が震えた。徐々に硬さが生まれ始める。

「ぅあ、ちょ、マジやめ、」
「ふーん、やっぱ除夜の鐘なんて効かないんだね」


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