05


 粘っこい音が鼓膜を打つ。それが麻倉自身の芯から溢れているのだと、認めたくない。

 震える左手が木築のジャケットをいつしか握り締めてしまっているのも、知りたくない。

「…1回イくか?」
「ッふ、る、せ…っ」

 いやいやと首を振る姿が、木築の嗜虐心を煽る事など麻倉は知る由もなかった。

「そうかよ」

 野獣の如き笑みを浮かべて木築は、完全に屹立し切って限界の迫る麻倉の性器を手放し、ジャケットを脱ぐとベッドサイドテーブルからローションボトルを手に取った。


「今イかせてもらわなかった事を後悔しろ」


 動けない麻倉の足からスラックスごと下着を剥ぎ取り、右脚に跨るように乗り掛かり左脚を持ち上げる。

 粘液に塗れた指を、硬く締まった蕾に触れた。


「ひぅ゙…!」
「力抜け、麻倉」
「っ断固、拒否、…っ、ッ、ゥ…」


 赤の他人、それどころか本来逮捕すべき相手に蕾を撫で回され、捏ねくり回されている事実に麻倉の躯は強張るばかりだ。

 だがその怯え竦む麻倉の躯に昂る己がいる事を、木築は感じていた。

「…」


 少し考え、木築はそのまま覆い被さってキスをする。

「んむ…っ」

 何度も角度を変えて繰り返す内に、次第にまた躯が弛緩していく。おそらく麻倉自身は理解もしていないだろうが。

 だから蕾を更に捏ね回す。

「っふッ? ん…っんッん゙ぅ…ッ!」

 爪先が丸まり、シーツを蹴って衣擦れが一層大きくなる。


 ぬめりを帯びた指が、蕾を、割った。


「〜〜っ! んん゙ゥ…!」


 太い指が肉襞を押し分け、体内に指が進んで来る感覚。目が回る。追い出そうにも激しいキスを受けながらで、躯の動かし方が分からなくなった。

 どうにもならないまま、侵される。

「な、んで…ッ、…っ、」

 キスから必死に逃れ、乱れ切った吐息混じりに問う。


「なんで弄り方に慣れてんのかってか? 俺ァバイだ。お前が暴れたりしなけりゃ、…優しく抱いてやるよ」


 低い声が耳元にねじ込まれて、ぞわぞわと腰が震えた。

「じょ、談じゃ、ね…っン、ん゙…!」
「もう少し我慢しろ。悦くしてやるから」
「ん゙ン゙ぅ…ッ、ぐ、ゥ…、…ッふぁッ!?」

 ごりッ、と性器の裏側辺りの肉を押し込まれた途端、ビクッッ! と全身が震えて思考が一瞬焼き切れた。

 僅か遅れて、指を切なく締め付ける言う事を聞かない躯に、かぁああっと熱が上がる。


「ッ…! っく、ぬ、け…」


 顔を隠そうとする麻倉の自由になる左腕にもどかしさを覚えつつ、木築はぐりゅ、と指をまた動かす。「ひっ!」きゅうッと締まる蕾。鈴口からとろォっ…と愛液が溢れ出た。

 思わず木築は口角を上げた。


「は…、初めての癖に感じんのか、ココで」
「ッる、せぇ…ッ、んぁっ! ッんっふ…ッ」


 くちゅ、くちゅっ、と指を緩やかに抜き挿しする動きを混ぜると更に麻倉の腰がくねり、腕に隠れた顔が真っ赤に染まり上がるのが木築からも見えた。

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