治して、先生。 04 不安気な顔で霜月を見上げる無垢な患者に、霜月は安心させるように優しく微笑んだ。霜月は自身の人好きのする顔の効力をよく知っている。 「大丈夫だよ、井之崎君。前立腺が本当に過活性しているのであれば治療自体は簡単だから。ただ、ちょっと色々検査をしないと断言できないから、もう少し我慢できるかな?」 「…ぅ、ん…」 はぁ、と熱い吐息をこぼしながら修右は小さく頷く。 ちらと視線を落とせば既に真っ赤に充血した乳首が乳輪から吸い上げられていて、そんな状態になった乳首などもちろん見るのは初めてで、修右はただ唇を噛んで恥ずかしさに耐えた。 見る限りでは、まだ乳首から悪いものが搾り出される様子はない。まだまだ掛かるのだろうか。そもそも、男の乳首でも母乳が出るみたいに、なにかが出る事など可能なのだろうか。 …恥ずかしくてそんな事、聞けやしない。 「折角骨が治りかけてる左足、できるだけ動かしちゃだめだよ」 主治医が当たりみたいに言うから、そういうものなのか、としか思えなくて。 ちりちりする乳首から意識を逸らした途端、びくっっと躯が跳ねた。 もちろん霜月が修右の股間を撫で、パジャマ代わりのハーフパンツをいきなり下着ごとずり下ろしたからだ。 「ッ先生!?」 「前立腺を診るからね。だから敢えて看護師を連れて来ずに僕だけで来たんだよ。恥ずかしいでしょ?」 「っ…」 左足が全く動かなかった時には看護師に陰部洗浄された事もある。あの時の居た堪れなさと言えば本気で「死ねる」と思えたので、言われてみればまだ同性である主治医だけで良かった…の、かもしれない。 霜月に促され、おそるおそる修右は右足をハーフパンツと下着から抜いた。 半勃ちの性器が他人の前に晒されて、蒸発してしまうのではないかと思うくらい顔が熱くなる。 「はい、右膝立てて。開くよ。ごめんね、なるべく早めに終えたいんだけど…丁寧にしないと傷付いちゃうから」 「…っ、ぅぅ…」 左足は固定され、右足は膝を立てて右側に倒す。そうなると、どうなるか。 股間が全部医師の前に曝け出され、しかもペンライトでそこを照らされている。 ひく、ひくっ…と性器が震えるのを、見られている。 それだけでも途方に暮れるくらいに恥ずかしいのに、更に医師は器用にペンライトを持つ側の指でふにゅと陰嚢を押し上げ、双丘の谷間を逆の手で押し開くではないか。 「ひっ!? せんせっ、そこっ…!」 「うん、動いちゃ駄目だよ。前立腺は直腸から触診するんだよ。嘘だと思うなら検索してくれてもいい。その間も検査は続けるけどね」 一旦手を離し微笑んで見せた霜月は、ペンライトを固定して再び媚薬入りのローションを指に絡めた。シーツに滴るくらい、たっぷりと。 それを、誰にも暴かれた事がないであろう高校生男子の肛門に触れ、ぬちぬちと塗り付ける。 「っん、ゥ…っ」 「痛くないからね。力を抜いて、井之崎君。…いい子だね…息を吐いて」 すっかり涙声で悶える修右がそれでも抵抗もせず懸命に、我知らず躯を開いて捧げて来るのに霜月は満足気な吐息を零した。 窄まった初々しい場所を擽り、そしてゆっくりと太い指を埋めていく。 狭く硬い緊張している括約筋を解すように、ほじるような回転も加え、あるいは何度か浅く抜いてみたりしながら。 [*前] | [次#] 『雑多状況』目次へ / 品書へ |