融ける境界

09



 逃げたいのに、逃げられない。
 夜が明けるまで、あとどれくらいだ?
 この辱めをどれだけ耐えれば、終るのか。
 こんなに狂わされた躯で延々と責められたなら、なんらかの情報を口走ってしまいそうで恐い。

 今だって俺の性器はオナホを貫いたままで、尻を撫でられるだけでビクビク腰が跳ね、ナカは熱くて躯は火照って。

「ユハ少尉っ…」
「ッ!」

 はー、はー、と昂奮し切ったハインツが俺の腰を掴んだ。完全に発情した獣の目だ。
 その目を見た途端、茹だった頭でも一気に恐怖が込み上げた。

(喰わ、れ、)
「ひ…、ぃ、や」

 身が竦む。だというのにまだ疼く蕾に、猛り怒張したハインツの性器が押し当てられ、そして瞬きの間に圧倒的な質量が、ぐぷ…ずりゅり…と俺の肉をじっくりと擦り上げ、穿った。


「んぁ゙…ッぁ、やぁ゙あ…ッ」

 嫌なのに。

 思考が灼き切れるほど──気持ちよくて。


 ぷしゃッ、ぷしゃっ…と、なにか分からない体液が俺の性器から噴き出して、みちみちと俺のナカを埋め満たしながら背に覆いかぶさってきたハインツの荒い呼吸が耳元に掛かる。

「ああ…嘘でしょう、ユハ少尉…っ、私の陰茎を直腸に受け容れて、潮噴きされるなんて…っ」

 言いながら後ろから手を回し、俺の性器を咥え込んだままのオナホを掴んだ。
 腰をゆっくりと使いながら、同じ速度でオナホで追い立てられる。


「んん゙ぅ…! んっんぅう…!!」
『っはぁ…ッ、ユハ少尉のケツ×××…っ吸い着いてくる…っ、』

 ぬっちゅぬっちゅぬっちゅぬっちゅ

「前からも後ろからも犯される感覚、いかがですか…? 少尉の陰茎、ぐしょぐしょですよ…」
「ァ゙あ…っ! ゃ、ア…ぉ゙…っ、も、ぉ…っ!」


 目の前に星が散って、卑猥な水音と共に過敏な性器とナカを他人に擦られて振り切れた感度が限界で。


「ん゙ぅ…っ! ん、んぅ゙う…っっ!!」

 びゅるッ、びゅーっ…!


 ガクガクと腰が情けない牡犬のように上下して、俺はシーツに精液をぶち撒けた。

「ああ…ッ! 少尉、ユハ少尉が射精をっ! ああ…!」
「ぁっやめ、嫌…ッ! な、ナカは…!」

 更に腰を激しく揺すり始めたその動きに、俺も男だ、ハインツの狙うところは想像がつく。なけなしの抵抗で背後に腕を伸ばした腕を、しかし逆に掴まれて組み伏せられた。

「ッ抵抗は…認めませんよ、ユハ少尉…」
「ぁっ、や、やめ…っ、ッく、ぅ゙うぅ…っ」

 男である自分の体内で、直腸内で、別の男の性器が跳ね、他者の精液が注ぎ込まれる恥辱。
 抗う事もできずにたっぷり種付けされる感覚と、それすら快感だと認識してしまう倒錯。

 ずるずると性器が蕾から引き抜かれると同時に崩れ落ちそうになる俺の躯を、ハインツが抱き留める。
 そして嬉しそうに囁いた。


「ひと晩、耐えられませんでしたね、ユハ少尉…」


「っは…ぇ…な、なんで…俺なにも…喋ってな…」


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