融ける境界

04



「ああ…いい…ユハ少尉が私の陰茎を…精子を…。アンリ・ユハ少尉、さあ、抵抗せずにこのハインツ・ロベルタの陰茎をお口いっぱいに咥えてしゃぶって、精子を舐め取って飲み込んでください。敵国少佐の子種をしっかり味わってくださいね…?」

 俺はハインツの股間に顔を埋め、太い肉棒が口内に侵入するのを、涙目で耐えるよりなかった。

 顎が外れそうで、喉奥まで届いてなおまだ口の外に溢れている肉棒にえづくが、ハインツはまったく配慮しない。
 俺の頭を上下に揺さぶり、俺の口内に、舌に、身勝手に肉棒を擦りつけては口内に先走りを注ぎ込む。


 ぢゅぷっぢゅぶっぢゅぶっぢゅぷっぢゅぷっ

「っぶ、ッう、ぐ…ッ、っは! …っん゙! んぶっ!」

 ぢゅぷっぢゅぷっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ
 ぎしっぎしっぎしっぎしっぎしっ


 簡易ベッドが悲鳴を上げる。ハインツの腰も激しく揺すられて、突き抜ける吐き気と嫌悪感になにも考えられなくなってくる。

「んぐっ、んぐっ、んぶっ、っは、ぁ…ッ、ん、ぶッ…!」
『ああ…ユハ少尉、ユハ少尉…ッ! かわいいッ…かわいいッ…!』

 かわいい訳があるか。

 そんなつっこみを入れる余裕なんてあるはずもなく、間もなく俺の口の中に勢いよく放射された白濁が喉を直撃して、俺は盛大に噎せ込んだ。

 口周りはハインツの白濁と先走りと俺の唾液でべとべとで、けれど構わずハインツは俺にキスをした。

「ッ!?」
「私の陰茎をユハ少尉が…ああ、写真にでも残しておきたい…ですが、次から本番ですよ。耐えてくださいね?」
「なっ…!?」

 簡易ベッドの傍らに置かれていた銀色のケースを手に取ると、ハインツは素早く用意をした。細いシリンジに注射針。そして微量の液体の入ったアンプル。

「…自白剤、か」
「いいえ?」

 口内の気持ち悪い体液を全部ベッドの外へ吐き出して、それでも無理やり問うた俺にハインツはにっこりと微笑んだ。


「これは経皮的接触により性的興奮を高め、尚且つ前立腺の働きを促進し、直腸内あるいは尿道内からの物理的刺激をより求めるようになり、その物理的刺激を加えられれば加えられるほど興奮は増長される、肉体的男性用皮下注射用薬──つまり催淫剤です」

「…」


 奴がなにを言っているのか、飲み込むまでに時間が掛かった。

 …いや。結局理解できなかった。

「なん…?」
「使ったことはないですか? ああ…つまり初めてのお薬で蕩けるユハ少尉のお顔が、お姿が見られるわけですね…!」

 聞き取れない。俺の国の言葉のはずなのに、なにを言っているのか分からない。
 ハインツは俺の口周りの体液をハンカチで適当に拭うと、もう一度唇を重ねた。

「んっむ…ッ」

 抵抗は、できない。

 ハインツは俺のこめかみに指を差し入れて、撫でるように掻き混ぜながら舌を挿し込んで来る。ぬちゃ…、と水音が頭蓋骨の奥から聞こえて混乱する。


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