囚 14 走馬灯のように、映画館からの出来事が脳裏を巡る。 布団に寝かされていたことに気付き、恐る恐る、毛布をめくった。 そして、青褪める。 金網のような銀色の金属がすっぽりと観月の牡を包み、誰かの支配を示すかのような小さくも無骨な南京錠が取り付けられていた。 「…な、んだ…これ…」 震える声は驚くほど掠れていて、触ってみたが取り外せそうな気配はない。 「ど…どうした、ら…」 鍵は。鍵はどこかにないか。 慌てて視線をさ迷わせたとき、机の上にレポート用紙が1枚あるのを見つけた。見るのも恐かったが、目を通さないわけにはいかなかった。 『おはよう、観月くん。身体は大丈夫? 今日はありがとう、とっても楽しかったよ。 君の身体はちゃんと拭いて、後処理もきちんとしたから安心してね。 ところで、新しい下着は気に入ってもらえた? それは貞操帯って言って、おちんちんの勃起を抑制するものだよ。勃起できないから、射精もできない。 今日観月くんは射精してないから、今日の夜とか明日の朝とか、すごくツラくなるかもしれないけど、僕が鍵を外さない限り射精できないから。 あ、おしっこはできるから安心してね。 次会ったときは、今日できなかったこといっぱいしようね。 明日も同じ時間、映画館に居るよ。 観月くんが僕に会いたければ、来てくれると嬉しいな。』 end. [*前] | [次#] 『雑多状況』目次へ / 品書へ |