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『やめろ! 命がいくつあっても足りない!』
『…ここでやめたら、生きてたって死んでるようなもんだ』

 映画の音声が、濡れた音を消してくれていることを願う。目尻の涙が頬へ伝う。

「ほんとかわいい…想像以上だ…ねぇ、もっと泣いて…?」

 だがそれすら逆効果であるらしく、千紘は肘掛へ覆い被さるようにして、

「〜〜っ!!」

 ぱくりと観月の牡を咥え込んだ。ぬるぬるした熱い粘膜が敏感な亀頭を包み込んで、千紘の思惑通り、観月の瞳から更に涙が溢れた。
 背中が反って、目の前がちかちかする。下半身から痺れるような快感が走り抜けて、どうしたら良いのかも判らなくなる。

 だって出会ったばかりのイケメンが映画館で自分の牡をしゃぶっている。

 信じられなくて信じたくなくて、ただ嬌声を殺すことしかできない。

 いやらしいことに、牡にしゃぶりつきながらも何度も何度も観月の反応を窺うかのように顔を見上げて来る。時折わざと赤い舌を見せ付けて、牡から排出される粘液をこれ見よがしに飲み込む。
 泣きたくなる。

「…っふ…! ん…っんぅ…!」
「しィ。聞こえちゃうよ。ん、…いっぱい出て来るの、美味しい…」

 ぴちゃ…ちゅぷっ…ちゅっ、ちゅ…っ、ぢゅるっ…

「…! っ、ん、ン…!」

 必死に首を振る観月の反応を明らかに愉しみ、千紘はしばらく夢中で牡に吸い付いた。それから観月の鞄を探り、「ああ、間違ったこっちじゃないね」自らの鞄を漁り直して銀色のなにかを取り出した。
 金属の輪から伸びた銀色の棒が、U字を描いて輪の中心に伸びている。薄暗い映画館のこと、それくらいしか判らない。

(…なに、するつもり…)

 がたがた震えながら凝視することしかできない観月に千紘は笑い、一瞬スクリーンを確認するかのように振り返ってから輪の中心を貫くように伸びた棒の先端を舐めた。
 それからまた、「しィ」と唇に人差し指を当てたかと思うと、

 くちゅう…っ

「ァ゛──」
『ドォオオオオン!!』

 悲鳴を掻き消す映画の爆音と共に、牡の先端の孔にその棒がゆっくりと挿し込まれていく。

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