StP 2nd

04


 きらきらと日光を反射する水面は綺麗で、うだるような暑さの中、入ればとても気持ち良さそうだ、という誘惑にかられる。

「今日の朝洗ったばっかりなんだって。だから水は綺麗だよ。はい夏弥、ばんざーい」
「ちょっ?!」

 ぐいとTシャツの裾を持ち上げられて、思わず両手で同じ場所を掴んで留めた。

「やめろ! 俺は入る気なんかねぇぞ?!」

 当然水着など持参していない。今の状況でプールに入ろうと思えば、全裸になるしかない。

 プールに全裸で入ることに抵抗があるのはもちろん、この屋上プールは言わば3階の高さにあるわけで。隣の教育棟は5階建て。いかな夏休みと言えども、誰が見るか判らない場所なのだ。

 洋介とて判っているだろうに、にぃと笑っていきなりキスしてきた。

「んむっ」

 熱い舌が口内に割り込んできて、粘る唾液が掻き混ざる。ああ、水分が足りない。頭を押さえつけられて、深いキスを交わす内に、思考が蕩けた。1度離れたかと思うと、すぐにまた唇が重なる。なんだか甘いような感じがして、ひくりと躯が震えた。

 ちゅ、と可愛らしい音を立ててキスが終る。

「はい、ばんざーい」

 ぐいと服を引っ張られて、ぼんやりしたままTシャツを脱がされて、ようやく夏弥は我に返った。

「っあ?!」
「ふふ、夏弥は気持ちいいとすぐに言うことを聞いてくれるねぇ」

 ベンチに放られたシャツ。バックルにも手が掛かって、夏弥は慌てる。

――ま、まずい!

 このまま流されたら、こんなところで脱がされる。学校で、誰かに見られているかもしれない場所で、全裸にされるなんて思ってもいなかった。

「ま、待てって洋介! 誰かに見られたらどうすんだ…!」
「僕は見られたいくらいだよ? 夏弥は僕のなんだって、言いふらしたい気持ちさ。今日も肩なんか抱かせて」


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