君が好きだから

05


 誰に見られてしまうか、分かったものじゃない。
 痴漢されてスカートの中でアソコをおっ勃たせている変態だなんて思われたら、恥ずかし過ぎて死ねる。

 そう思うのに、俺の思考に反して俺の躯は着実に快楽へと追い込まれていく。

「ふ、ン…っ」

 駄目だ、変な声が出る。

 夕隆は俺を窓に押しつけるみたいに躯を密着させてきて、熱い舌で俺の耳を舐めた。ぞぞっ、と背筋にまで電流が走る。

「…和泉、大丈夫?」

 逆の手がやんわりと俺の頭を撫でる。
 女みたいな名前、女みたいな格好――体格。もし他人から見られたとしても、ラッシュから彼氏が彼女を護っているようにしか見えないのだろうか。

「っ、だい、…じょ、ぶ、な…ワケ…っ」

 ふるふると震えながら振り向き、極力抑えて言った声は、けれどすぐに夕隆の口内に吸い込まれた。

 それと同時にアソコを素早く夕隆が扱き始めて、駆け巡る快感に俺の全身が強張る。
 崩れ落ちそうになる俺の腰を、夕隆が腕を回して支える――ついでに、その手が服の中まで潜り込んできて、既にツンと勃っていた乳首をくにくにと弄った。

 たたん、たたん、たたん。

「んぅ…っ」

 間抜けな電車の音を聞きながら、俺は目を瞑って、口の中を掻き回す夕隆の舌を必死で拒絶しようとする。乳首をこねる腕、アソコを相変わらず扱き続ける腕を各々掴んで、懸命にやめさせようとするのだが。

――びくともしねぇ…。

 俺と夕隆の身長差は笑えないことに20cm弱。利き手の握力差は更に笑えないことに20kg。適うはずがない。

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