In the BAVEL

10


 もはや何度目かも判らない絶頂を過ぎた頃、扉が開いて男が現れた。先ほどの男ではない。

「ナナちゃん、ご飯の時間だよー? 食べれるの?」
「ひぁ…っ」

 男の言葉に、躯の中を攻め抜いていた液体が、一斉に動いた。

 ぢゅるるるッ!
「ひゃっあぁああ――ッ!!」

 蓋をしていた液体が抜けるとすぐさま、尿道を熱い液体が駆け上がった。全身が痙攣して、季はきつく目を瞑る。

 ナナのような透明さなどない濃い乳白色のそれは、男の足元にまで飛び散った。

 両手をいましめていた液体がなくなったこともあいまって、季はがくりとベッドに倒れ込む。

「は…っ、はぁ…ッ、はぁ…っ」
「うわ〜、すごいね〜」

 男は呑気な感想を述べると、「あ、こらダメだよ」飛んだ季の白濁液を絡め取ろうとするナナを叱りつけた。

「ご飯だって言ったでしょ? 続きはご飯の後にしなさい」

 ナナは少しだけ未練がましく白濁を掬い取ると、そのまま扉の向こうへ移動していく。
 男がどうやら、笑ったようだった。



「それまで君も、休むといいよ」



 遠のく意識の中で、優しさに見せかけた、残酷な言葉を聞いた。



end.

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